メールのPOPとIMAPの違いを理解しよう!業務での使い分け事例付

情シス

メールの設定画面で「POP」や「IMAP」と表示され、これ一体何なんだと思われているところかもしれません。POPとはPCやスマホへメールを落としてして読むことで、IMAPとは都度サーバーにあるメールを見に行って読むことです。

POPは動作がサクサク使え、ネット回線が使えなくても読めたり、IMAP誰かが読むと他の人には既読で表示されたりとそれぞれ便利さに違いがあります。

本記事には事例も掲載してあるので、読み終えると自社内ではPOPが便利か、IMAPが便利か答えを出せると思います。ぜひこの記事を活用して社内提案や導入計画作りを進めてみてください。

1.POPとIMAP

POPとIMAPの違いですがこれはメールをPC・スマホに保存するか、あるいはサーバーに保存するかの違いです。それぞれの特徴や違いを見ていきましょう。

1-1.POPとは何か

POPはPost Office Protocolの略のことで、パソコンやスマホの受信トレイでメールを保存して、都度サーバーからメールを消す形式です。PC・スマホの受信トレイにメールを保存するのでメールの表示速度が速い利点があります。

例えるならPOPは、会社の受付から書類を自分の机に持ち帰るようなものです。一度机に持ち込むので受付に書類は残りませんし、机に書類があるため他の人は見られません。

1-2.IMAPとは何か

IMAPは、スマホやパソコンの中にメールを保存しないで、メールはサーバーに保存して必要時にメールを見に行きます。チームでメールを見る時、誰かが読んだら既読となり、削除も全員に反映されます。

例えるならIMAPは、オフィスの共有ボードに貼られた書類であって、社員全員がいつでもどこからでも共有ボードを見て同じ書類を確認できます。

1-3.POPとIMAPの違い

一番大きな違いはPOPの場合は受信トレイのメールはネット回線が不通になっても見られますIMAPはネット回線が不通になるとメール自体が一切見れません

あとはPOPではPC・スマホで受信する都度、サーバーから通常はメールを消しているで容量不足は起こりにくいです。しかしIMAPは自分でメールを削除をする必要があります。削除しないとサーバーがいっぱいになり、新規メールを受信できなくなります。

2.POPとIMAPはどっちがいい?

POPやIMAPにはそれぞれ長所・短所があり、ここでは少し詳しく見ていきたいと思います。仕事の仕方と長所・短所を比べて、自社の仕事にはどちらがあっていそうか、考えてみましょう。

2-1.POPの長所・短所

【長所】

  1. 動作が軽快でメールがサクサク表示できる
    自分のパソコンにメールをダウンロードするため、何百通・何全通と受信してもメールを検索したり表示しようとしても、メールソフトは軽快に動いてくれます。
  2. サーバー(自分の郵便受け)が一杯になりメールが差出人に戻るリスクが少ない
    メールがパソコンへダウンロードされると、メールはメールサーバーから都度都度削除されるため、メールを受信するたびに自分の郵便受けは空になります。そのため郵便受けがパンパンで新規メールが受信できない、といったことは起こりにくくなります。郵便受けが一杯で届かなかったメールについては差出人にエラーメッセージが自動で送信されます。
  3. ネット回線が不調でつながらなくても過去のメールが読める
    もし会社のネットが一時的につながらなくなってしまっても、過去に受信したメールは読むことができるため、電話対応などがある業務ではネット回線が不調な際もメールを使い続けることができます。

【短所】

  1. もしPCが故障してしまうと過去のメールが全部見れなくなってしまう
    メールは自分のPCのメールソフトにだけある状態となるため、仮にPCが故障してしまうと過去に受信したメールはバックアップをしていない場合は見れなくなってしまいます。
  2. 1つのアドレスを何人かで受信することは可能だが、設定にやや手間がかかる(これをやるならIMAPもオススメ)
  3. PCを新しいPCに乗り換える際に、受信トレイの移行作業が必要
    受信トレイの移行は重たい添付ファイルが付いているメールがあると時間もかかってしまいます。そのためメールの移行作業を始める前に不要な重たいメールは削除しておくことをおすすめします。受信トレイ上で添付ファイルが付いているメールだけを絞り込み表示することもできます。

2-2.IMAPの長所・短所

【長所】

  1. 1つのアドレスを複数人のPCで見るときに簡単で便利
    既読・未読・メールの削除は全員に反映されるため、メールを見たかなどの情報共有も素早く行うことができます。フォルダの作成やメールの自動振り分けも一度の設定で全員に反映されるため、自動振り分けの設定の手間も削減できます。
  2. パソコンやスマホなどが壊れても、メールは問題なく残る
    メールはサーバーに保存されるためパソコンやスマホが壊れてしまっても問題なく読むことができます。

【短所】

  1. ネット回線がつながらない時は、メールが全く読めなくなる
    メールはPCにダウンロードせず、サーバーに存在するため、もしネット回線がつながらなくなった場合はメールが読めなくなってしまいます。
  2. 時々メールを削除しないとサーバーが容量オーバーで新たな受信ができなくなる
    これは一番の問題かもしれませんが、メールはサーバーに置いておくため、メールを定期的に削除しなければ、サーバー(自分の郵便受け)はいずれメールでパンパンになってしまい新規メールを受信できなくなってしまいます。

    【IMAPの容量オーバー問題を回避する方法】
    実際にIMAPを使って多く直面するのが容量オーバーで新規メールが受信できないという問題です。そのためIMAPの運用を開始前に、自社のメールサーバーで容量オーバーが起きやすそうかまず調べることをおすすめします。調査ポイントは、メールサーバーの容量がたっぷりあるか/残っているか、と、1つのメールアドレスごとのメールボックスの大きさが十分にあるかの2つです。例えばメールサーバー(郵便受け)の容量が、会社全体で30GBで、メールアドレス1つ1つには容量制限がない場合は、全体で空きがある程度あれば比較的安心して使えます。しかし、メールサーバーの容量は会社全体で30GBだがメールアドレス1つ1つに例えば20MBの容量制限がある場合等は、全体はすかすかでも、メールアドレス1つ1つに20MBの容量制限がありすぐに容量オーバーが到来する可能性が高いです。そのため後者のような制限のメールサーバーを利用している場合は、IMAPの運用を控えるかメールサーバーを1つ1つのメールアドレスの容量制限が無いものや容量制限がゆるいものに移行して利用することをおすすめします。

3.オフィスでの使い方

ここでは主に企業の職場を想定してPOPとIMAPの使い分け事例を紹介します。

3-1.POPの使い方

主に1台のパソコンでメールを集中管理する際におすすめします。

【経理担当の鈴木さん】
鈴木さんは毎日、取引先から請求書や見積書をメールで受け取り、重要なファイルなため共有ドライブに保存して仕事を行っています。経理業務は鈴木さん1人です。
⇒POPがオススメ!
・添付ファイルもスピーディーに開けます
・請求書や見積書を共有ドライブに保存するなら、もしPCが壊れてメールが読めなくても安心です

【営業担当の田中さん】
田中さんの所属する営業部は全員で5人いて、5人とも個人のアドレスを持っています。また営業部内の情報共有用に1つのメーリングリストがあり5人で使っています。営業部は全員が持ち出し可能なモバイルPCで仕事をします。
⇒POPがオススメ!
・メールがスピーディーに開けます
・出先で通信圏外にいても受信トレイが確認可能
・部内の情報共有はメーリングリストで
・スマホで会社のメールをチラ見程度なら、POPでもOK

3-2.IMAPの使い方

複数のPCで既読・未読・振り分けフォルダを共有してメールを利用する場合に便利です。

【不動産会社内見予約担当の佐々木さん】
佐々木さんが勤める不動産会社は、様々な不動産掲載サイトに物件を掲載中です。毎日様々なサイトから内見の予約メールが舞い込みます。佐々木さんは内見予約チームに所属して3人で内見予約の対応をします。
⇒IMAPがオススメ!
・受信トレイの振り分け設定をすれば、チーム全員が
・未対応:受信トレイ、対応中:「調整中」フォルダ、完了済:「完了」フォルダのようにメールの処理状況をリアルタイムに把握できます。
・誰かが既読にするとほかのメンバーにも既読で表示され、重複対応の防止も可能です。
・佐々木さんが昼の休憩中でも、他のメンバーがすぐに予約状況を確認して対応できます。

【営業担当の佐藤さん】
佐藤さんの会社では、全営業社員に持ち出し可能なモバイルPCと、緊急連絡用も含めてスマートフォンを支給しています。休日に顧客から緊急連絡が入ることもあります。
⇒IMAPがオススメ!
・スマートフォンでメールチェックをしてPCで開いたメールは既読になり未読が見つけやすい。
・PCもスマホも利用頻度が高い方にもおすすめ。

4.原則POPとIMAPの併用は原則推奨されない

ここでは1つのメールアドレスでPOPとIMAPの併用が推奨されない理由をご案内します。

4-1.なぜ1つのメールアドレスでPOPとIMAPの併用は推奨されないか

1つのメールアドレスを複数の端末で受信する際に、POPとIMAPの併用は推奨されていません。具体的な例を挙げると、1台目のPCはPOPで受信して、2台目のPCはIMAPを受信するとします。POPでメールを受信すると、通常サーバーからメールは削除されるため、その後2台目のPCを使いIMAPでメールを見てもメールが無い状態となってしまいます。

例えば、「IMAPを設定した田中さん」と「POPを設定した鈴木さん」が同じアドレスのメールを受信したところ、鈴木さんが休んでいる日は問題なく田中さんはメールを見ることができます。しかし。鈴木さんが出社した日には、田中さんはお客様からのメールが届かないことがあります

メールが届かない理由は、POPを設定した鈴木さんが受信するとメールサーバー上からメールが削除されるため、その後にIMAPを設定した田中さんがメールを受信しようとしてもサーバー上にメールが無いため、田中さんにはメールが届かないためです。

そのため、1つのメールアドレスでPOPとIMAPを併用することは推奨されないこととなっています。

4-2.どうしてもPOPとIMAPを併用したい時の対処方法

どうしてもPOPとIMAPを併用したい時の対処方法をご案内します。参考になさってください。

  1. 併用したい事例
    PCでは、電話しながらメールを見みたりするのでPOPでメールを受信して電話中でも早くメールを見たい。
    スマホでは、たまにだけメールを見るので、見るときにメールアプリを立ち上げて(POPで)全部受信すると時間がかかるので、IMAPで最新のメールから見たい。
  2. 対処方法
    PCでPOPのメール設定に「ダウンロードしてから●日以上経過したメッセージはサーバーから削除する」という箇所があります。ここに50日と設定すると、最新の(過去)50日分のメールはサーバーに残るので、スマホからIMAPで最新の50日分のメールは読むことができます。※サーバー上のメールはPCで受信した日の51日後に削除されます。
  3. 利用する上の注意点
    この方法では、50日分のメールをサーバーに残すため、添付ファイルが付いているメールが多く届くとメールボックスが途中で満杯になり、新規メールが受信できなくなることがあります。その場合は2.のメールをサーバーに残す日数を受信から50日から30日にするなど日数を短く設定するのがおすすめです。サーバーにメールを残す期間を短縮するとメールボックスが満杯ではなくなり新規メールが受信できるようになることがあります。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました