DNS浸透ってなに?Webサイトとメールを引越しさせる時の落とし穴

情シス

Webサイトやメールサーバーの引越しで、ホームページが見れない、メールが届かない…そんなトラブルを防ぐDNSの浸透について解説します。もし会社でホームページのサーバーを乗り換えることになりDNSの変更が必要になっても、これを読めばDNSの仕組みがわかり設定変更も気軽にできるようになります。

1. DNSの浸透とは

私たちが普段使うインターネットの世界では「DNS(ドメインネームシステム)」という仕組みが、電話帳のような役割を果たしています。

1-1. DNSの役割

インターネットの世界には、Webサイトやメールサーバーなど、たくさんの「家」があります。それぞれの家には電話番号のような「201.168.2.1(この番号は例)」といった番号(IPアドレス)が割り振られています。

でも、数字の羅列を覚えるのは大変ですよね?そこで登場したのがDNSです。DNSは、私たちが普段使っている「yahoo.co.jp」のような覚えやすい名前(ドメイン名)と、電話番号(IPアドレス)を紐付ける「電話帳」のような役割をしています。

1-2. DNSの仕組み:電話帳で番号を探すイメージ

Webサイトを見たり、メールを送ったりするとき、パソコンやスマホはまずDNSに「yahoo.co.jpの番号は?」と問い合わせします。その後電話帳の中から「yahoo.co.jp」を探し出し、対応する番号「201.168.2.1(この番号は例)」(IPアドレス)を教えてくれます。

もしこの世界にDNSがなければそれはこの世に電話帳が無いということになり、それでもヤフーのサイトを見るには番号(201.168.2.1)を覚えて打ち込まなくてはなりません。

たくさんの番号を覚えるのは無理があると思います。URLはサイト名など意味のある単語がついているので覚えやすく、DNSがあるおかげでホームページにもURLで簡単にアクセスできるのです。

1-3. 会社でDNSの浸透が必要な時はどんな時?浸透時間とはなんですか?

会社でDNSの浸透が必要な時は、自社で使用するホームページやメールのサーバー会社変えるタイミングです。あるきっかけとすると、ホームページをリニューアルする時です。会社のホームページをリニューアルする際は制作業者に頼むと思います。その際に制作業者は、新しいホームページは、今よりも性能の良い新しいサーバーに置きましょうと提案してくることがあります。このような時はサーバーをお引越しするためIPアドレスが変わります。そのためDNSの情報を書き換える必要があります。

さきほどDNSは電話帳のようなイメージとお伝えしました。DNSの情報は完全に書き変わるまでには時間がかかります。例えるなら、電話帳の番号が変わったとき、新しい電話帳がみんなに配られるまで時間がかかるのと同じです。DNSの浸透とは、この書き換えた新しいIPアドレスがインターネット全体に広がることを表します。改めてですが、浸透時間というのは、新しい情報が広まるまでにかかる時間のことです。

1-4. どのような影響がありますか?

もし、DNSの浸透が終わる前にWebサイトを見ようとすると、引っ越し前の古い住所にアクセスしてしまい、Webサイトが表示されなかったり、古いWebサイトが表示されてしまうことがあります。

メールも同様で、DNSの浸透が終わる前にメールを送ると、古いメールサーバーに送られてしまい、メールが届かなくなる可能性があります。

2. 浸透時間に対する対策は?

浸透時間を短縮し、業務に与える影響を少なくするためには、計画的な準備と事前対策が重要です。DNSの設定変更の前に、TTL(Time To Live)の値を調整することで、新しい情報が早く行き渡る方法をご案内します。また、変更直後は、一時的に古いサーバーと新しいサーバーの両方でWebサイトやメールのサービスが提供できるようにする手段もあわせて書き添えておきます。

2-1. TTLを調整してDNS浸透時間を早める

TTL(Time To Live)とは、DNSの情報がどれくらいの期間キャッシュ(一時的に保存)されるかを設定するものです。DNSの情報とは、URL「yahoo.co.jp」と対応するIPアドレス「201.168.2.1(この番号は例)」が載っている電話帳のことです。

このDNSの情報は、ホームページをリニューアルしてサーバーをお引越しするときによく変更があるとお伝えしました。でもホームページのリニューアルはそんなに頻繁にないですよね。そのためこの電話帳(DNS)は、リアルタイムに更新されず、例えば5時間に1回などの頻度で更新されています。この何時間に1回電話帳を更新するかをTTLへ設定します。前もって、TTLを10分など短く設定しておけば、電話帳の更新時間(DNSの浸透時間)を短縮できます。但しTTLを10分と設定しても全世界の電話帳が10分で更新されるわけではありません。このあと世界中の電話帳が更新されるまでに最大72時間はかかるとされています。

2-2. WEBもメールも新旧両方のサーバーどちらに接続されてもいいようにする

DNSの浸透期間中(おおむね最大72時間)は、一部の人が新しいサーバーに、一部の人が古いサーバーにアクセスする可能性があります。

Webサイトであれば、古いサーバーにもページを残したままにしたり、新しいサーバーへリダイレクト(自動で転送)するように設定しておけば、何かしらアクセスできない状態を避けることが可能です。

メールも同様に、古いメールサーバーで受信したメールを新しいメールサーバーに転送するように設定すれば、メールの取りこぼしを防ぐことができます。

DNSを変更するときに、2-1で書いたTTLの時間を短くすることがまず一番にやることです。会社で使っているホームページやメールについては問題なく使える状態が続くことが第一ということもあり、2-2で書いたことも組み合わせるとDNS変更時によりホームページやメールの問題が起こるリスクを下げてくれます。ご検討ください。

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