安否確認アプリを企業へ導入すると、大地震が起こった時などに自動で従業員の安否確認を行うことができます。とかく混乱しがちな災害の初期に社員や家族の安否確認や結果の集計を自動で行えるため、復旧の対策も早めに検討することができます。
ここでは企業の危機管理担当の方や総務の方に向けて、安否確認アプリのメリットやできること、かかるコストの考え方をご案内いたします。
何かの災害が起こると、その時には防災熱が上がりがちですが、この記事を読んだ今日をタイミングにして、次の災害に備えるため、安否確認アプリの導入に向けてまずがアプリの比較に動き出してみませんか!
1.企業向け安否確認アプリとは
ここでは企業向けの安否確認アプリとはどのようなものかなどをご案内いたします。
1-1.企業向け安否確認アプリとはどのようなものか
企業向けの安否確認アプリとは、企業が災害発生時などに従業員やその家族の安全を確認したり、会社からの連絡を従業員へ伝えるためのものです。
具体的には災害発生後に会社が安否確認アプリで安否確認のメッセージを従業員へ発出し、従業員は主にスマートフォンでフィーチャーフォン(ガラケー)でその内容を確認します。従業員は端末上で安否や被災内容を回答すると会社に送信される仕組みです。企業は安否確認アプリを使うことで速やかに従業員の安否を確認することができます。従業員からの回答結果があれば、それが業務中の被災ならば会社で打てる手立てを検討したりその従業員へ指示することも可能です。また、災害時に事業を継続したり自社を復旧させていくためにも、第一には土台となる社員の安否確認が必須になります。
企業では安否確認アプリを利用することで、被災時に従業員や家族の被災状況を把握して、自社の業務継続に活かしていくことができます。
1-2.様々な災害でアプリを利用することができる
安否確認アプリを利用する災害としては、真っ先に地震や津波は想定できると思います。しかし従業員やその家族の安全を確認する必要があれば、以下のような災害で利用することも想定できます。
- 台風、暴風雨、大雪
- 洪水
- 落雷
- 停電
- 大規模火災
- 竜巻
- 噴火など
なお、災害以外にもシステム障害で社内の情報共有ができなくなった場合にも、安否確認アプリには社員が情報をやり取りできる掲示板機能があり活用することができます。
1-3.災害時に安否確認の自動送信ができる
安否確認アプリは、災害時に従業員へメッセージを自動で送信することもできます。あらかじめ災害前に有効にする設定は必要ですが、災害が発生したら気象庁が発表する地震・特別警報を基にして、自動で従業員へ安否確認のメッセージを送信することができます。この安否確認メッセージの送信は、自社内のサーバーを使わず安否確認アプリの提供会社が送信しますので、自社が被災したとしても社員への安否確認メッセージは自動で送信することができます。
1-4.平常時も掲示板機能やアンケート機能で安否確認アプリを活用できる
意外かもしれませんが、平常時にも安否確認アプリは活用することができます。安否確認アプリに搭載されている掲示板機能やアンケート機能を使い、社内の情報共有や調査などに利用できます。
2.安否確認アプリの機能
ここでは安否確認アプリの機能をご案内いたします。
2-1.従業員情報の登録機能
安否確認アプリを使って安否確認を行う社員の情報を登録する機能です。全社員の氏名や勤務地、自宅住所、緊急時のメッセージを送信する携帯電話番号やメールアドレスなどを登録します。災害時に従業員へ自動で安否確認メッセージを送信することにも利用され、この従業員情報に登録されている地域と気象庁で発表された地震・特別警報の地域が合った場合に安否確認メッセージが自動送信されます。そのため、日ごろから勤務地や自宅住所、電話番号などが変わった場合は登録を変更する癖をつけておく必要があります。(従業員情報の変更は従業員自身の操作で変更することが可能です)
既に労務管理システム(SmartHRやfreee人事労務など)を導入している場合は、従業員情報を安否確認アプリに自動登録できる場合もあります。
2-2.災害時に安否確認メッセージの自動送信機能
気象庁から発表された地震や特別警報のうち、どの震度以上で自動の安否確認を行うかを設定しておく機能です。地震の場合は「震度5弱以上」「震度5強以上」など震度から選ぶことができます。この自動送信機能は災害発生後速やかに自動で安否確認を送信できるため、安否確認アプリの重要機能の1つと言えます。
2-3.手動での安否確認メッセージ送信機能
平時でも災害時でも、手動で安否確認メッセージを送信することもできます。例えば一部地域で固定回線の通信障害が発生し、ある事務所では通話や通信ができなくなった場合でも、安否確認アプリを社員の携帯電話に配信することで、安否確認などを行うことも可能です。
2-4.災害時のメッセージ受信方法は複数ある
災害時に安否確認のメッセージを従業員が受け取る方法は複数あります。メール、LINE、専用アプリ、ショートメッセージ(SMS)などがあり、安否確認アプリのメーカーによって受信方法は異なっています。大規模災害が起こると電話がつながりにくくなるなど通信が一時的にマヒする場合もありますが、複数の受信方法を利用できるので災害時のメッセージ到達性を高めることができます。
2-5.パスワード不要で本人の安否確認サイトへログインできるURLの発行機能
災害時に従業員へ送る安否確認メッセージ内には、従業員ごとに異なるURLで安否登録サイトのURLが付いています。このためURLをクリックするだけで、従業員はID・パスワードを入力せずに安否登録サイトへログインして被災状況を入力することができます。
このため災害時の慌てている状況でも従業員はID・パスワードを不要で安否登録が可能です。
2-6.リアルタイムでの回答状況の自動集計機能
安否登録サイトへ入力された被災状況は、リアルタイムで自動集計されるため安否確認アプリの管理者は最新の集計結果を確認することができます。被災条項は社員本人の他に家族の被災状況も入力することができます。自社の事業の復旧が必要となる会社や、災害復旧が業務となる会社では、社員とその家族の無事も確認できないと復旧業務がなかなか行えません。そのため、回答状況の自動集計機能を使うと災害時でも手間をかけずに自動で社員や家族の安否確認結果を集計して必要な判断を行っていくことができます。
2-7.GPSを使った写真や音声での報告機能
従業員が安否確認サイトで被災状況を報告する際に、写真や音声をGPSの位置情報もあわせて添付することができます。この機能は自宅の被災状況以外にも、会社の事務所や設備がどのように被災しているかの報告用にも利用できる機能です。
3.安否確認アプリの導入メリット
ここでは安否確認アプリを導入することのメリットをご案内いたします。
3-1.大規模災害の発生時でも従業員の安否確認を自動で開始できる
安否確認アプリには一定以上の地震が発生した場合に、自動で安否確認メッセージを従業員の携帯電話へ送ることができます。大規模震災が起きた場合は、本社機能や各地の事業所そのものが被災したり、電気や通信の寸断、余震などが起こり、速やかに従業員へ安否確認を行うことができない場合があります。安否確認アプリは自動でメッセージを送る際に、自社のサーバーや通信設備は使わずに、安否確認アプリの会社が持っているシステムから従業員へ安否確認メッセージを送信します。たとえ自社が被災していたとしても、安否確認のメッセージをは従業員の携帯電話へ送信することができます。
3-2.確認結果は自動集計され速やかな状況把握や対策検討に移れる
従業員が回答した安否確認の内容は、安否確認アプリの管理者がWEB上の管理画面から確認できます。安否確認の結果はアプリ上で自動集計されるので、災害後で混乱していたとしても正確な集計結果を確認することができます。そのため会社で自動集計された社員の被災状況を見ながら、例えば復旧要員の案を作り始めたり、店舗の再開時期を検討したり等、検討していくことができます。
3-3.テレワークや出張中の安否確認にも利用できる
従業員の携帯電話へ安否確認のメッセージを送信するので、テレワークや出張を行っている場合でも、安否をスムーズに収集することができます。勤務時間中の災害発生であれば、事務所にいる従業員同士は無事であることが確認できますが、テレワークや出張で事務所にいない従業員は安否確認アプリの利用が確実です。
3-4.携帯電話にメッセージを送信するので、震災から数日経過しても回答できる可能性が高くなる
大規模な地震が発生すると、揺れが大きい地域では固定電話・固定通信、携帯電話・携帯通信の順に不通になっていきます。地震初期には激しい揺れで電話線や光ファイバーケーブルが断線し、固定電話・固定通信が不通になることがあります。しかし携帯電話や携帯通信は、基地局にバッテリーがあるため電気が止まったとしても、その時点から2・3日は通話や通信ができることがあります。安否確認メッセージを携帯電話へ送信することで、震災から数日は従業員の回答ができる可能性が高い安否確認を取ることができます。
近年の震災では避難所にスターリンク(Wi-Fiで利用できる衛星通信を使ったインターネット)が配備されたことも話題になりましたが、避難所のW-Fiを使っても安否確認の回答を送信することは可能です。
4.安否確認アプリの課題・デメリット
ここでは安否確認アプリの課題やデメリットをご案内いたします。
4-1.従業員へ安否確認アプリの周知が必要
安否確認アプリを導入したならば、従業員に対して災害時に利用方法等を周知しておく必要があります。
周知をしないで例えば震災が起こった場合、個人のスマホに届く安否確認の依頼に回答しない従業員も発生する可能性があります。また、従業員のメールアドレスや住所が変わっている場合はアプリ上の登録内容を修正しないと、メッセージが届かないということも起こります。
そのため月に1度、訓練を安否確認アプリを実際に使って行うことをおすすめします。従業員への周知にもつながり、住所やメールアドレスなどの登録内容が変わっている場合は訓練の際に修正を促し登録内容を最新化することもできます。
4-2.運用には平常時からコストがかかる
安否確認アプリは基本的に月額制の料金体系を取っていることが多くあります。月額自体は従業員数×単価(例えば100円)のような課金方法が比較的多いです。そのため平時から費用がかかってしまうデメリットもあります。
災害の発生後、速やかに安否を確認するためには事前に安否確認アプリを契約してメッセージの送信先の従業員情報も最新版にメンテナンスしておく必要があります。平常時のコストで、災害発生時の安否確認メッセージ送信の即応体制を作り、かつ訓練にも活かして、災害への備えとしていくことがコストへの理解とつながるのではないでしょうか。
5.企業で利用する安否確認アプリのご案内
ここでは企業で利用する代表的な安否確認アプリをご案内いたします。クリックするとサービスの公式サイトにリンクします。
サービス名 | 提供元 |
安否確認サービス2 | トヨクモ株式会社 |
エマージェンシーコール | インフォコム株式会社 |
セコム安否確認サービス | セコム株式会社 |
Cuenote安否確認サービス | ユミルリンク株式会社 |
バーズ安否確認+(プラス) | 株式会社バーズ情報科学研究所 |
オクレンジャー | 株式会社パスカル |
安否確認システムANPIC | 株式会社アバンセシステム |
クロスゼロ | 株式会社建設システム |
ANPiS | 関西電力株式会社 |
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