生成AIパスポート資格を取得して社員のAI利用リスクを減らし活用度をUP

情シス

社内でAIを業務に利用し始めているれど、生成AIのリスクを社員が理解した上で活用する方法はないものか、そう考えている企業の人事担当やDX推進の方も多いのではないでしょうか。この記事では、生成AIパスポート資格の取得を通して社内にAIのリスクや活用方法を浸透させる方法をご案内いたします。以下に生成AIパスポート試験とはどのようなものか、受験者・企業それぞれから見たメリット、試験の例題、勉強方法を記載しています。資格取得を通して企業ではどのようなAI利用に関するリスクが減ってどんなメリットがあるかがわかるようになっていますので、ぜひ自社の資格取得支援制度に生成AIパスポート資格を入れるなど検討してみてください。

1.生成AIパスポート試験とは

ここでは生成AIパスポート試験とはどのようなものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。

1-1.生成AIパスポート試験の概要

生成AIパスポート試験は、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が主催する、生成AIの利用で生じるリスクを予防することを目的とした資格試験です。2023年10月から日本国内で始まった試験で、毎年の2月・6月・10月に試験がありこれまで2万人以上の合格者を輩出しています。試験はオンラインでのIBT方式(個人のパソコンやスマートフォンから受験する方式)で行われます。社会人や学生、教育関係者など幅広い受験者を想定して試験は設計されています。試験の受験料は、11,000円(税込)となっており、学生の場合は半額の5,500円(税込)で受験することができます。

1-2.生成AIパスポート試験の出題範囲

生成AIパスポート試験の出題範囲は試験公式サイトで公開されています。問題は以下の範囲から出題されます。

第1章 AI(人工知能)
第2章 生成AI(ジェネレーティブAI)
第3章 現在の生成AI(ジェネレーティブAI)の動向
第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則
第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作と実例

出題範囲の詳細はこちらの試験公式サイトでご確認ください。

1-3.生成AIパスポート試験の難易度

生成AIパスポート試験は、試験を主催する一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)のWEBサイトによると、2025年6月の試験では合格率は77.14%となっており、他の資格試験と比べると難易度はそこまで高くないものと言えます。
生成AIが一般に広がったのはこの数年であり、そこまで生成AIに関する知識は世の中には広がっていないとも言えます。そのため77%強の合格率は、数字だけ見ると高めに映るかもしれませんが、知識のバックグラウンドがあまりないことを考えると、ある程度きちんと勉強をしたうえでの結果の合格率と考えるべきです。そのため全く勉強をせずに、AIの日常利用だけをしている状態で試験を受けても落ちてしまう可能性が高いとも言えます。

1-4.生成AIパスポート試験の試験統計

生成AIパスポート試験は2023年10月から開始されていますが、今現在の最新の受験者数・合格者数などの試験統計は以下の通りとなります。社会人の受験者層では、ITや情報サービスなど比較的生成AIがビジネスにつながりやすい業界の受験者が上位を占めています。

●2025年6月試験の受験者数・合格者数
受験者数:10,759名
合格者数:8,300名
合格率:77%

●統計
合格者の年代:20代/14.5%、30代/20.4%、40代/22%、50代/14.6%、60代/3.4%、70代以上/0.3%、不明/24.6%
合格者の業種:その他・未回答/39%、IT/31%、情報サービス/8%、製造/6%、通信/5%、金融/4% ほか

1-5.ITパスポート試験とは別モノです

生成AIパスポート試験は、名前こそ情報処理技術者試験の「ITパスポート試験」と似ていますが、両者の間には全く関連性はなく、別の資格試験となっています。
ITパスポート試験は、IT関連を商材にしている企業などでは全社員に資格取得を必須とする例があるほど、ITに関する登竜門的な資格試験とも言えます。一方の生成AIパスポート試験は、最近利用が急速に広まるAIに対して基礎をしっかりおさえながら、実際の利用や応用・活用まで習得することができます。ITを題材にしている資格か、AIを題材にしている資格か双方とも「パスポート」と資格名称には含まれていますが、資格の中身は明確に分かれています。

2.【受験者から見た】生成AIパスポート試験のメリット

ここでは受験者から見た生成AIパスポート試験のメリットをご案内いたします。

2-1.生成AIを使う上で自身で法的なリスクを理解できる

生成AIを利用する上での利用者にかかる法的リスクの理解は、もともとこの試験の目的の1つでもあり非常に重要な事と位置付けられています。生成AIの利用では具体的には、著作権侵害、個人情報保護法違反、名誉毀損、不正競争防止法違反などが可能性としてはあげられます。試験勉強を実際の生成AI利用シーンでの法的リスクの点検時に活用することもできます。

2-2.生成AIの基礎知識を習得することができる

生成AIは、世の中一般へ広まったのはここ数年のことであり、そもそも生成AIの基礎知識が世の中に広まり浸透しているかというと、まだまだ広く一般的な知識ではない状況です。そのため生成AIの基礎知識は試験の出題範囲でもあり試験勉強を通して生成AIに関する基礎知識を広く習得することができます。
例えば、AIとロボットの違いから、機械学習とはどのようなものか、AIが画像を認識する仕組みやどのような生成AIにはモデルがあるか、またChatGPTの歴史の変遷を通してモデルの性能を理解するなど、様々な基礎知識を習得することができます。

2-3.仕事やプライベートでより生成AIを利活用していくことができる

生成AIパスポート試験では、プロンプト技法をはじめ、ビジネスへの応用や逆に生成AIが不得意なことについても出題がされます。例えば、ビジネスへ応用分野ではメールの作成からアンケート結果の分析、業務フローの分解や外国語の翻訳など創造的な内容の生成AI利用についても出題範囲とされています。また、姓と名を分離したり、フリガナを記載するなどの作業的な内容の生成AI利用についても出題範囲となっています。そのため生成AIパスポート試験で勉強したことは、仕事はもちろんのことプライベートでの生成AI利用でも活かしていくことができます。

2-4.昇給やキャリアアップを目指したきっかけにすることができる

生成AIパスポート試験は、比較的最近(2023年に)できた資格であるため、企業内の人事担当者に対する知名度という面ではまだまだというのが実情です。ですが、年を追うごとに受験者数も増え、またビジネス上でも日増しにAI利用が増えていることを考えると、生成AIパスポート試験の有資格者に対して何らかの昇給を行う企業も増えてくることも考えられます。

3.【企業から見た】生成AIパスポート試験のメリット

ここでは企業から見た生成AIパスポート試験のメリットをご案内いたします。

3-1.生成AIの利用におけるリスク管理とコンプライアンスを強化できる

生成AIの利用はどの種類の生成AIを使っても、その仕組み上著作権侵害や、誤情報の生成、個人情報漏洩の可能性、ハルシネーションなどのリスクが生じます。どの利用者であってもこの課題は起こりえますので、資格の勉強を通じてこれらのリスクを理解して合理的に回避することも可能になるとも考えられます。生成AIパスポート資格の取得を通して自社のビジネスで生成AIを活用する際のリスク管理やコンプライアンス強化に繋がて行くこともできます。

3-2.業務の効率化や生産性向上を図ることができる

生成AIを利用・活用していくうえで必要となる、基本的なデータ分析法やコンテンツ生成法、メール作成法、議事録の予約法など生成AIの利用方法を試験勉強を通して理解することもできます。さらに、プロンプトエンジニアリングの知識も試験勉強を通して習得することができるので、より高品質な出力結果を生成することができるようにもなります。生成AIの利用方法と活用方法も学習範囲に入っているので、業務の効率化や生産性向上についても自社への貢献も期待することができます。

3-3.有資格者であることをアピールして企業のイメージアップを図ることができる

生成AIパスポート資格を取得することは、生成AIを安全かつ効果的に活用できる人材であることを表す意味もあります。そのため企業として生成AIパスポート資格を持っている社員がいることを外部にアピールすることは、生成AIを安全に扱っていることを示すことにもつなげることができます。このように資格取得を通して企業のイメージアップを図っていくことも可能です。

3-4.従業員のスキルアップを図ることができる

生成AI自体の「進化」も日進月歩だと思いますが、生成AIパスポート試験も試験範囲が改定されつつ運用されています。そのため、急速に進化するAI技術を資格取得を通して学び取ることもできます。そのため人事制度を通して資格取得を支援することで従業員が生成AIの利用についてスキルアップを図っていくこともできます。

4.生成AIパスポート試験の例題

ここでは生成AIパスポート試験の例題をいくつかご案内いたします。

4-1.著作権に関する例題

【問題】
生成AIが作成した文章や画像などコンテンツの著作権に関する記述として最も適切なものはどれか。

【選択肢】
A. 生成AIに指示して生成したコンテンツには、いかなる場合でも著作権は発生しない。
B. 生成AIに指示して生成したコンテンツの著作権は、そのAIを開発した企業に帰属する。
C. 生成AIへ指示をした利用者が、自分の思想や感情を創作的に表現するためにAIを活用した場合、その結果の生成物には著作権が認められる可能性がある。
D. 生成AIは既存の著作物を学習データとして利用しているため、生成されたコンテンツは常に著作権を侵害していることになる。

【答え】
C

4-2.ハルシネーションに関する例題

【問題】
生成AIにおける「ハルシネーション」とは、どのような現象を指すものか。

【選択肢】
A. 生成AIが指示されたプロンプトを正確に理解できず、全く関係のない内容を出力する現象。
B. 生成AIが学習したデータにそもそも存在しない、あるいは事実ではない情報をもっともらしく生成してしまう現象。
C. 生成AIが悪意のある情報やフェイクニュースを意図的に作り出す現象。
D. 生成AIが一時的な過負荷状態にとなりシステムが一時停止する現象。

【答え】
B

4-3.プロンプトエンジニアリングの基本に関する例題

【問題】
生成AIから回答を得るために作成するプロンプトのポイントとして、最も適切ではないものはどれか。

【選択肢】
A. 具体的な指示や制約を明確に含める。
B. 抽象的な表現や曖昧な言葉を多く使い、AIの創造性を引き出す。
C. 出力形式(表、箇条書き、文章など)を指定する。
D. 具体例や役割(例:あなたは〇〇の専門家です)を必要に応じて与える。

【答え】
B

5.生成AIパスポート試験の勉強方法

ここでは、生成AIパスポート試験の勉強方法をいくつかご案内いたします。

5-1.勉強用アプリを利用する

iPhoneやAndroidのスマートフォンやタブレットで生成AIパスポート試験の勉強ができるアプリを利用する方法です。場所を選ばずに移動などのすきま時間を有効活用しながら勉強することができます。
なお一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)の公認アプリがありダウンロードして有料で利用することができます。

5-2.参考書を利用する

生成AIパスポート試験の紙や電子書籍版の参考書を利用して勉強する方法です。紙の参考書は書店で購入することもできます。

改訂版 生成AIパスポート テキスト&問題集
生成AIパスポート公式テキスト 第3版

5-3.Eラーニングを利用する

WEB上のEラーニングを利用して勉強する方法です。基本的に有料となりますが動画などを見ながらわかりやすく学習することも可能です。

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5-4.スクールを利用する

対面で生成AIパスポート講座を受講する勉強方法です。講師にその場で質問ができるメリットを活かして勉強したい方にもおすすめです。

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