エクセルでの物品管理を行っているものの、購入した物品の登録が漏れていたり、また物品を紛失していたりと、実際の管理状態がエクセル異なり不要な物品を購入してしまったという課題を持つ中堅・中小企業の物品担当の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは物品管理システムを導入することで、手間をかけない物品登録や棚卸し、貸し出し管理のほか、物品と管理する社員名の紐づけなど物品管理に必要なことを効率的に行うことができます。ここでは中堅・中小企業の物品担当の方に向けて、物品管理システムとはどのようなものかや、システムの機能、導入によるメリットなどをご案内しています。この記事を読んでぜひ物品管理システムの選定に進んでみてください。
1.物品管理システムとは
ここでは備品管理システムとはどのようなものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。
1-1.物品管理システムとは何か
物品管理システムとは、企業が業務に使う物品やオフィスで利用している備品を把握して管理するためのシステムです。実例を出すと物品管理システムで管理する物品とは、会社で購入したパソコンやテレビ会議用モニターであったり、製造業であれば製品づくりに使うドリルなども該当します。会社の資産にも計上される物品が購入後もきちんと社内に存在しているか、紛失していないか、棚卸も含めて物品を管理しやすくするためのシステムです。物品管理方法のありがちな例としては、物品管理の紙台帳をつけていたり、部署ごととにエクセルで物品管理していたり、はたまた物品管理を行っておらず例えば購入した電子機器がどこに何台あるのかわからない、といったこともあるかと思います。こういった場合は物品管理システムを導入することで、社内の物品の見えるかと在庫管理をきちんと行っていくことができます。
1-2.「備品」「消耗品」そして「物品」の違い
物品管理システムの説明を進めていくうえで、最初に「物品」「備品」「消耗品」の違いについて整理しておきたいと思います。
●備品(会計処理上の言葉)
備品とは会社で購入した机、パソコンや製造業で利用する機械工具など比較的高価なものを指します。会計処理上では減価償却となる取得価額が10万円以上で耐用年数が1年以上の物を指します。
●消耗品(会計処理上の言葉)
消耗品とは言葉の意味で近いものだとコピー用紙、洗剤・消毒液、トイレットペーパー、複合機のトナーなどを指しますが、消耗品は会計処理上は取得価額が10万円未満で耐用年数が1年未満のものを指すため、例えば数千円で販売しているUSBメモリーや数万円で打っている外付けハードディスクなども消耗品に該当します。
●物品
物品は、法律や会計上で定められている意味はありません。そのため、物品の意味は、備品も消耗品も両方を含んでいると言えます。この記事で解説している物品管理システムはその言葉の通り、会計上の備品であっても消耗品であっても管理することができます。例えば、オンライン会議用のスピーカーマイクを数千円で購入した場合でも、社内できちんと所在や個数を管理して運用していものですよね。そのような企業として管理したい物品は消耗品であっても管理できるのが物品管理システムであると言えます。
1-3.物品管理システムの種類
物品管理システムは、製造業で使うドリルなどの工具から、パソコンやデスクまで会社で幅広く管理することができます。非常に幅広い業種での用途があるので、物品管理システムは主に3種類存在しています。
(1)RFIDタグに対応した物品管理システム
これは工場や研究施設など点数が多かったり、高価であったり、使用期限があったりする物品の管理をしやすくするように、無線ICタグ(RFIDタグ)を使って物品管理が行えるシステムのことです。物品同士が重なっていたり、例えば段ボールの中に入っていても無線ICタグを読み取ることが可能です。無線ICタグを読み取るゲートを通過した際にまとめて読み取ることができます。身近な無線ICタグの利用例ではユニクロの会計機があり、衣類を会計機に置くと会計機が自動で会計金額を計算しますが、これは衣類のタグについているRFIDタグを読み取って会計金額の計算を行っています。
(2)バーコードやQRコードに対応した物品管理システム
このタイプの物品管理システムは、コスト面や利便性の面から比較的幅広い業種で受け入れられています。物品管理システムには、土台となるデータベースがあり、そのデータベースに物品を登録するとバーコードやQRコードを発行することができます。発行したバーコードは、スマートフォンのカメラで読み取って棚卸しなどに時間をかけずに行うことができます。もちろんバーコードやQRコードを使わずにデータベースだけで物品管理をしていくことも可能です。
(3)業界特化型の物品管理システム
業界特化型の物品管理システムとしては、主に病院向けのシステムが比較的多く存在しています。使用期限がある物品を管理したり、補充を行うために在庫数を管理したり、発注を行うためのFAX送信機能も組み込んだ病院向けの物品管理システムもあります。
2.物品管理管理システムの主な機能
ここでは物品管理システムの主な機能をご案内いたします。
2-1.物品台帳機能
物品台帳機能は、物品管理システムの要となる物品のデータベースを中心とした各種の機能です。この機能により物品の登録や、検索、修正、登録内容の確認、備品の管理ラベル発行やバーコードやQRコードの出力機能など、これから物品管理を始めるための機能と、運用中に物品の登録内容を確認したり修正することが可能です。なお、バーコードやQRコードはテプラを使って印刷することも可能です。
なお、RFIDタグの管理ができる物品管理システムの場合は物品とタグの紐づけも行うことが可能です。
2-2.在庫数管理機能
在庫数管理機能は、登録した物品に対して個数を登録するための機能です。在庫という言葉の意味は、その企業が顧客に販売する商品の在庫を表すこともあります。ここでは、物品の在庫数を管理する言葉として使っています。
2-3.貸出管理機能
社内で貸し出しして利用する物品の場合は、物品管理システム上で予約を行ったり返却が無い場合のアラート表示などを行うことができます。システム上で誰が貸し出しをして、誰が返却をしたか1件ずつ記録して行けるため確実な高価な物品であっても確実性を上げて管理していくことができます。
2-4.棚卸し管理機能
この棚卸し管理機能は物品管理システムを導入する中でも用途として比較的重要に位置付けられることの多い機能です。企業内には、パソコンやスマートフォン、工具、バックアップメディア、重要書類、鍵等まで幅広く大量に物品を管理していることがあります。それらを例えば半年に1回など、管理者本人が管理をしているか棚卸しをして確認する場合は、この棚卸し管理機能が時間短縮して効率的に行うことが可能です。例えば、物品にバーコードやQRコードを貼り付けておくと、社員はスマートフォンのカメラで撮影して棚卸しを短時間で行うこともできます。スマートフォンがない場合でも棚卸しの実施依頼をメールで送付してクリック操作だけで棚卸し結果の登録を行うことができます。
2-5.廃棄管理機能
会社で購入した資産のため、廃棄もシステム上で登録することができます。この廃棄をきちんと徹底することで、社内に存在する物品やその個数を正確に管理していくことができます。なおあらかじめ廃棄日時を登録しておくとその物品の担当者に廃棄確認の通知を流すこともできます。
3.物品管理システムのメリット
ここでは物品管理システムのメリットをご案内いたします。
3-1.大量の物品管理をペーパーレスで効率的に行うことができる
物品管理システムを導入することで、物品管理の電子化が可能です。物品自体はシステムへの登録後は、社内で物品の利用・運用を行っている部署で管理することが多いかと思います。各部署で棚卸しを行う際も、物品管理システムをPCで開いたり、スマートフォンから物品に貼ったQRコードを読み取るなどして、運用現場でもペーパレスで棚卸しを行うことができます。物品の登録も棚卸しも数が増えたとしても毎回システム上の操作だけで効率的に処理することができます。
3-2.物品と利用する社員名を紐づけて物品を一元管理することができる
物品1つ1つに対してどの部署の誰がどこで保管するといったことを登録することができます。物品管理システムには貸出管理機能も備わっており、貸出の際も社員の誰が借りたかということを管理することができます。数多くの物品を様々な場所で管理する状況下でもシステム内で物品管理者の名前や借りた人の名前を残すことができるので、システムの利用することで一定の物品管理レベルを維持して運用していくことができます。
3-3.棚卸しの時間を短縮することができる
物品の棚卸をする際に、バーコードやQRコードをスマートフォンで読み取って行うことができるため棚卸しにかかる時間を紙で行う方法に比べて大幅に削減することができます。
3-4.物品の登録時に物品自体のバーコードを読み取って入力工数を減らすことができる
物品を物品管理システムへ登録する際に、物品名などの情報を登録する必要があります。この物品のマスタ登録を行う際に、その物品に付いているバーコードを読み取ると、物品管理システム上で物品管理システムへの登録を補助してくれる機能があるシステムもあります。物品管理システムに物品登録を行う際は必ず登録工数がかかってしまいますが、物品についているバーコードを利用することで登録工数を減らす運用を行うこともできます。
3-5.物品管理を行うことでコストの削減を行うことができる
特に多拠点を展開している企業では、状況によってはIT機器を導入をそれぞれの拠点で勝手に行ってしまっていて、社内に一体何台の機器があるかわからず、余計にIT機器を購入してしまうということもあったのではないでしょうか。特にコロナ禍に急遽オンライン会議を行う必要が生じて、拠点で独自にスピーカーマイクを勝ったため本社のIT管理部署も把握していなかったという事例もあるよです。このような場合でも、物品管理システムを導入することで購入した物品の情報も全社で共有することができるため、余剰に物品を購入することを避けコスト削減を行っていくことができます。
3-6.備品や消耗品の追加購入のタイミングもシステムを使って計画立案することができる
物品管理システムで備品以外にも消耗品なども一元管理することで、追加で物品の購入を行う場合のタイミングを計画することができます。システム内には物品の登録日や廃棄日のデータがあるので、追加購入が必要となる物品については、登録してから廃棄するまでの期間をあらかじめ計算して、購入サイクルを計画することもできます。もちろんすべての消耗品を物品管理しているとそれだけで大変ですので、費用的にある程度かかり、定期的に出ていく消耗品などは、購入計画や予算をを立てるためにも物品管理システムで管理することもおすすめいたします。
4.代表的な物品管理システム
ここでは代表的な物品管理システムをいくつかご案内いたします。
区分 | サービス名 | 提供元 |
バーコード/QRコード対応型 | Convi.BASE | 株式会社コンビベース |
備品管理クラウド | アストロラボ株式会社 | |
OPTiM Asset | 株式会社オプティム | |
WelThings | ウェルコムデザイン株式会社 | |
fine asset | 中央システム株式会社 | |
Colorkrew Biz | 株式会社Colorkrew | |
RFID対応型 | 物品管理システム | 株式会社日立システムズエンジニアリングサービス |
タグ衛門 | 株式会社ハイエレコン | |
Assetment Neo | 株式会社アセットメント | |
MONISTOR | 株式会社東北システムズ・サポート | |
特定業界型(病院向け) | JoyPla | スパイラル株式会社 |
Medyus2 | 株式会社メディアス | |
MedicalStream | 株式会社サン・システム | |
MONISTOR for メディカル | 株式会社東北システムズ・サポート |
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