会社のメールアドレスをクラウドメールで便利に使う!仕組みやメリットを紹介

情シス

社用スマートフォンの社員への支給も進んできたため、パソコンとスマートフォンを働く場所や時間によって使い分けるニーズが出てきて、会社のメールをクラウドメールサービスに移行することを検討しはじめた中堅・中小企業の情報システム担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、そんな情報システム担当の方に向けて、改めて基礎からクラウドメールとはどのようなものかや、クラウドメールのメリット、デメリットなどをまとめました。これを読んでぜひクラウドメールサービスの選定を進めてみてください。

1.クラウドメールとは

ここではまず、クラウドメールとはどのようなものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。

1-1.そもそもクラウドメールとは

クラウドメールとは、IDとパスワードでログインすればブラウザやアプリ上ですぐにメールが送受信できるようになるサービスのことです。主にGmailやiPhoneのメールアプリのほか、マイクロソフトのOutlook(M365利用時)などがクラウドメールとしては良く知られています。
クラウドメールとは簡単に言ってしまうと、メール送受信するために必要になるPOPサーバーやSMTPサーバーの設定をすることなく、GmailであればGmailのID・パスワード、iPhoneのメールアプリであればApple IDのID・パスワード、OutlookであればMicrosoftアカウントのID・パスワードでログインするだけで利用できます。
クラウドメールのメール自体はサーバーに保存されるため、パソコンからメールを利用しても、スマホから利用しても過去のメールはもちろんのこと未読既読に至るまで1つのメールボックスをどの端末からものぞき込んで利用することができます。特に使い方はこれまでのメールとの違いはなく、添付ファイルも問題なく利用することができます。
近年、企業では社員へのPCやスマホの貸与が進み場所を選ばない働き方が進んでいる方もいらっしゃいますが、そういった場合はメールも利便性の高いクラウドメールも併せて使う場合が多々あります。

1-2.クラウドメールと従来のメールとの違い

ここではクラウドメールと従来のメールとの違いについてご案内いたします。
クラウドメールとはこの記事の最初で「IDとパスワードでWEBブラウザやアプリからログインすれば利用することができるメール」と説明しました。クラウドメールは送受信したメールもWEB上で保管をしており、メールを保管する場所も見る場所もすべてをWEB上で行っています。
従来のメールというのは「パソコン上にメールソフトをインストールして、そのソフトに初期設定でPOPサーバーやSMTPサーバーのサーバー名やメールアドレス・パスワードを設定し、そしてメールソフト上に送受信したメールをため込んでいく」ものです。
単純化してしまうと、従来のメールでは初期設定を行ったパソコンでのみメールを送受信できるものでしたが、クラウドメールではパソコンでもスマホでもID・パスワードを打ち込めばどちらからでもメールが送受信できるというものです。
従来のメールが主流だった時代は、会社のパソコンを外部で利用するための通信インフラの導入もあまり進んでおらず1台のパソコンを会社で利用し続ける使い方がメインだったため、メールも従来型でことが足りてしまっていました。
しかし、コロナ禍や働き方改革が進んで場所を選ばない働き方が推進されるにつれて、会社でも通信インフラの整備が進みスマートフォンや会社のノートパソコンを出先や自宅での利用が進みました。そういった環境変化があった上で、パソコンでもスマートフォンでも同じメールボックスを見ることの利便性が評価されクラウドメールの利用が現在は進みつつあります。

1-3.クラウドメールの仕組み

ここではクラウドメールの仕組みをご説明いたします。なお会社ドメインのメールアドレスの送受信をGmailやM365を使ったOutlookメールなどのクラウドメール上で行う場合の仕組みの説明となります。

まず前置きにはなりますが、現在では会社のメールアドレスを利便性が良いためクラウドメールを利用して送受信することが増えています。そのような場合でも、メールを送受信する社員はGmailやOutlookメールに、GmailのIDとパスワードやMicrosoftアカウントのパスワードを入力するだけでクラウドメールのため会社メールを送受信することができます。

●メールを受信できる仕組み
会社メールがクラウドメールで受信できる仕組みは、まずメールの送信者は会社メール宛てにメールを送信します。実はこの際に、DNSと言われるメールの飛び先を指示するインターネット上の機器が、会社ドメイン宛てのメールはクラウドメールのサービス(例えばgmail.com)へ届けと行先の指示を行っています。(ここは専門的に言うと会社ドメインMXレコードにgmail.comと設定しています。)そのため、GmailにIDとパスワードでログインしても会社のメールが見ることが可能になっています。

●メールを送信できる仕組み
会社メールがクラウドメールで送信できる仕組みは、主にメールの送信時には、GmailやOutlook.comのメールサーバーを使って会社のメールを送信しています。基本的に会社ドメインの送信メールサーバー(SMTPサーバー)を使うことはありません。差出人のメールアドレスと送信メールサーバーのドメインが異なるためクラウドメールサービス側では、SPFレコードの設定を推奨している場合があります。

2.クラウドメールのメリット

ここではクラウドメールサービスのメリットをご案内いたします。

2-1.メールボックスを大容量かつ高速で利用できる

クラウドメールサービスの最初のメリットとして挙げさせていただくのが、メールボックスを大容量かつ高速に利用できる点についてです。
クラウドと名の付く通り、クラウド環境でメールが保存されており通常は大容量のメールボックスが用意されています。Googleの場合は法人向けのプランでは一番安いプラン(Business Starter)でも30GBの容量を用意しています。1つ上のプラン(Business Standard)の場合は、2TBが容量となっており容量に関してはほぼ困ることもないのではないでしょうか。
またクラウド環境ですので、メールの検索なども高速に行うことができ素早く探しているメールを探すこともできます。インフラだけGmailやOutlook.comを使って自社ドメインのメールを利用すると、このように大容量かつ高速でメールが利用できるメリットがあります。

2-2.インターネットにさえ接続すれば場所や端末を選ばずにメールを利用できる

会社内には様々な端末があるかと思います。本人のPC以外にも、支給されたスマートフォンであったり、共用PCやタブレットといったものもあるかと思います。
クラウドメールは、IDとパスワードさえ入力すれば過去のメールの閲覧はもちろんのことメールの送信も含め、どの端末から行うことも可能です。
出先にスマートフォンから会社メールにアクセスすることもでき、会社の共用PCにもID・パスワードを入力すればメールを利用することができます。このように場所や端末を選ばずにクラウドメールは利用できるので、働き方改革推進のツールにもなり得るサービスです。

2-3.クラウドメールの利用はセキュリティ対策としても有効

クラウドメールは、これまで利用してきたメールソフトを利用したメールの送受信よりもセキュリティの面でも様々なメリットがあります。

●多要素認証の利用
まずは、クラウドメールへログインする際に多要素認証を利用することができます。クラウドメールは基本的にはID・パスワードだけでログインできるためID・パスワードが流出した際にはクラウドメール側がログインに異常を検知できない場合は突破されてしまいます。そのような場合でも、事前に登録したスマートフォンへSMSへワンタイムパスワードを送って正規の持ち主にしかログインさせない対策もとることができます。

●高度なマルウェア対策
ここのクラウド環境の強みが活きてくるメリットと言えますが、会社メールでは毎日たくさんのメールを受信することと思います。それらはクラウドメールに受信した際にマルウェア検査をGmailやOutlookのクラウド環境が自動的に行っています。これはGoogleやマイクロソフトが常に最新のマルウェア対策パターンをクラウド環境に適用してマルウェア対策を行っていると考えてよく、かなり強力なマルウェア対策の体制が組まれているとも言うことができます。パソコンにメールソフトをインストールして利用する従来型のメールでは、パソコン自体にマルウェア対策ソフトがインストールされていないとマルウェア対策を行うことができませんが、クラウドメールであれば自動でマルウェア対策を行うことが可能です。

2-4.パソコンの入れ替えをする際にメールの移行作業が不要になる

クラウドメールでは、パソコンにメールをダウンロードして利用しないため、例えば使っているパソコンがリースアップして別の端末に入れ替えをする際にもメールの移行作業を不要にすることができます。
以前のようにメールソフトをパソコンにインストールしてメールを利用していた場合は、新端末への移行作業でも、送受信してきたメールをコピーして新端末へ移行する作業が必要でした。このメールの移行作業には特に添付ファイルの容量が大きいメールがたくさん合った場合は、なかなか時間がかかることも多く、移行作業がすぐに終わらずまとまった台数の新端末移行に時間がかるという問題もかつてはありました。しかしクラウドメールを利用することで、旧端末からログアウトして新端末へログインするだけでメールを利用することができるようになります。

3.クラウドメールのデメリット

ここではクラウドメールサービスのデメリットをご案内いたします。

3-1.月額費用が人数に応じた従量課金のため利用規模が大きくなると費用負担が大きくなる

これはクラウドサービスの全般に言えるではありますが、利用者が増えれば増えるほど月額費用が増えていくという課題があります。クラウドメールは便利なサービスで、日々マルウェア対策のパターンも自動更新されていくメリットもあるのですが1IDにつき月額●●●円といった費用体系であることが多く利用者が増えるほど毎月の課金額が増えていきます。そのためクラウドメールサービスが含まれているグループウェア(Google WorkspaceやMicrosoft365)を導入するのも一つの案となります。

3-2.クラウドメールの解約時にメールの移行に手間がかかる場合がある

クラウドメールは一度使い始めると、送受信したメールがどんどんクラウドメールの中に保存されていきます。そのため、もしクラウドメールサービスを乗り換える場合や、従来型のメールソフトに移行する場合は、過去に送受信したメールデータの移行が必要になる場合があります。(メールを移行せずに解約するとメールは消えてしまい復元できない)
メールの移行には専用の移行ツールがある場合は比較的簡単に移行を行うことができます。移行ツールはクラウドメールサービスの会社が提供している場合があります。このほかにも、IMAPというメールの受信方式を利用して移行する方法や、メールデータをPCのメールソフトで受け取れる形式(.mboxや.eml)に出力して移行する方法もあります。
いずれにせよクラウドメールサービスの導入検討時に、解約時にどのようなメール移行方法が利用できるか少し情報収集しておく必要はあります。

4.主なクラウドメールサービスのご案内

ここでは主なクラウドメールサービスをいくつかご案内いたします。

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