ポイント管理システムの導入に向けた機能や種類、選び方のご案内

情シス

自社でポイント管理システムを導入する話が持ち上がり、ポイント管理システムについて調べ始めている中堅・中小企業のシステム担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここではそんな方のために、ポイント管理システムとはどのようなものかといった基本の振り返りから、なぜポイント管理システムが必要かや、システムの機能や種類、選び方までご案内いたします。ぜひこの記事を読んでポイント管理システムの社内への概要説明やその後のシステム選定を行ってみてください。

1.ポイント管理システムとは?

ポイント管理システムとはどのようなものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。

1-1.ポイント管理システムとは?

ポイント管理システムとは、企業が顧客に付与するポイントを効率的に管理・運用するためのITシステムのことです。顧客の購買履歴や来店履歴に応じてポイントを付与したり、顧客が貯めたポイントを利用できるようにしたりする機能が中核です。また、運用しだすと顧客ごとの購買状況が詳細にわかるためデータをマーケティングに利用することもできます。紙のポイントカードではできないことをポイント管理システムを利用することで様々実現していくことができます。詳しくはこの記事を読んでみてください!

1-2.ポイント管理システムが無いとどうなるか

かなり基本的なことになりますが、ポイント管理システムが無いとどうなってしまうかについても触れておきたいと思います。
Excelや紙の台帳でポイント管理を行った場合は、データの入力ミスや集計の手間が発生し、会員が増えるほど業務が煩雑になり非効率になります。また、詳細な顧客分析が難しいため、購買傾向が強そうな顧客に向けた効果的なマーケティング施策も立てることができません。
これらの手間の削減や分析のためにポイント管理システムが役になってきます。またポイント管理システムは、単なる業務効率化ツールだけでなく、ポイント制度を通して顧客との関係を深めるためのツールとも言えます。

2.なぜポイント管理システムが必要なのか?

ここでは2.なぜポイント管理システムが必要なのかについてご案内いたします。

2-1.顧客との関係性をポイント制度で高める

多くの商売ではリピーターを作ることが安定した収益基盤の構築につながっていくかと思います。新規の顧客を開拓するのも広告や人件費などコストがかかるものです。そこで重要になるのが顧客になったお客様との関係をいかに強固にするかで、ポイント制度はこの関係づくりに重要な役割を発揮します。

ここではポイント制度で顧客との関係性を高めるとどのようなことが期待できるか、ご紹介します。
●リピート率の向上
「ポイントを貯めたい」「貯まったポイントを使いたい」という心理が働き、顧客の来店頻度や購買頻度を上げることにつなげることができます。

●顧客のファン化
ポイントを通じてその顧客に対してお得感を演出することで単なる「お客さん」ではなく「ファン」へと変えていくこともできます。ファンになれば他社よりも自社の商品を注目してくれたり、SNSでの発信をしてくれたりと色々ないい効果を産んでくれます。マーケティング的にはファン化により顧客のロイヤルティ(愛着や忠誠心など)が高まるとも言います。

●顧客単価のアップ
年間の購買金額でランクがあるような会員制度であれば「あと少しで次のランクに上がれるから、もう一品買おう」やその他にも「ポイントを使って、いつもより高価な商品を買ってみよう」といった購買意欲もポイント制度は刺激します。これにより顧客単価の向上に貢献することにも貢献します。

2-2.システムの導入から見るとどんなメリットがあるか

ポイント管理システムを導入すれば、ポイント管理業務をほぼ自動化することができポイント管理業務を効率化されます。例えばスタンダードを使っている場合は用紙にスタンプを押す手間であったり実際にポイントを使った顧客の分析などすべてが手作業になってしまいます。これらをシステムを導入しPOSレジやECサイトと連携することで、購入と同時にポイントが付与され、残高も自動で更新することができます。もちろん手作業によるミスもなくなり、人件費の削減にもつながり、利用者の分析データもすぐに出力することができます。

このほかにも、 データに基づいたマーケティングを行うことができることもメリットです。紙の会員カードでは不可能だった「顧客データの活用」が、システム導入によってリアルタイムに行うことができるようになります。通常システムには、顧客の氏名、年齢、性別といった基本情報から、いつ、何を、どれくらい購入したか、どのようなポイントキャンペーンに参加したかなどが蓄積されるので、効果の検証もデータを用いて科学的に行っていくことができます。きちんと分析を行えば「週末にまとめ買いをするファミリー層」であったり「ブランド商品を好む若年層」といった自社の顧客層を正確に把握することができます。そういった顧客に向けて例えばポイントアップ特典や割引などのマーケティング施策を展開することもできます。こういったマーケティング施策も効果検証することで有効性を検証してその後にも活かしていくことができます。

また、いわゆるLTV(ライフタイムバリュー、訳:顧客生涯価値)の最大化や顧客満足度の向上にもつなげることができます。ポイント管理をシステムで行うことで誕生日や会員ランクのアップなどパーソナライズされた特典やサービスを行うこともできます。全員一律の会員制度よりもお得感を与えたり演出したりできるので顧客満足度を上げていくことも可能です。こういった顧客満足度を上げていく活動を継続していくことでその一人の顧客が企業にもたらす利益の総額であるLTV(顧客生涯価値)が最大化され、安定した収益基盤の構築にもつなげていくことができます。

3.ポイント管理システムの機能と種類

ここではポイント管理システムの機能と種類についてご案内いたします。

3-1.ポイント管理システムの主要な機能

ここではポイント管理システムの主な機能をご案内いたします。

●ポイント付与・利用・管理
顧客の購買金額や来店回数、会員ランクなどに応じたポイントを自動で計算・付与します。もちろん、顧客が貯めたポイントを支払いに利用する際の処理もスムーズに行います。手動での入力ミスや計算の手間がなくなるため、レジでの待ち時間短縮にもつながります。

●会員情報管理
顧客の氏名、連絡先、購買履歴、ポイント残高などを一元管理します。これにより、顧客一人ひとりの行動や嗜好を把握でき、顧客に合わせたパーソナライズされたサービスや特典を提供できるようになります。

●データ分析・レポート機能
システムに蓄積された膨大なデータを自動で分析し、グラフや表で分かりやすく可視化します。「どの商品が一番ポイント利用されているか」「どの年代の顧客がリピート率が高いか」といった洞察を得ることで、次のマーケティング戦略に活かすことができます。

●クーポン発行、キャンペーン管理
特定の顧客層に向けた限定クーポンの発行や、期間限定のポイントアップキャンペーンなどを簡単に企画・実行できます。システムが自動で対象顧客を抽出し、メールやアプリのプッシュ通知などでキャンペーン情報を配信することも可能です。

●外部サービス連携
ECサイト、POSレジ、SNS、自社アプリなど、外部のシステムとシームレスに連携できます。これにより、顧客は実店舗でもオンラインでも、同じポイントを貯めたり使ったりできるようになり、利便性が大幅に向上します。

3-2.システムのタイプ別分類

ポイント管理システムは、クラウド型やオンプレミス型、パッケージ型の3種類があります。それぞれどのようなものかご案内いたします。

●クラウド型(ASP/SaaS型とも言われます)
インターネット上に既に完成したポイント管理システムがあり、契約することで比較的簡単かつすぐに利用できることが特徴です。自社でサーバーを構築する必要がないため、導入のハードルが最も低いのが特徴です。
クラウド型のメリットとしては、やはり初期費用と運用コストが低いことがあげられます。もう一つのクラウド型の特徴としてはサーバー構築費用がかからず、月額利用料のみで始められることが多いこともメリットとして挙げられます。また、サーバーの保守やアップデートなどハードウェアのメンテナンスも不要なので情報システム関連の人材が手薄な企業にもおすすめです。
デメリットとしては、カスタマイズ性が低いことがあげられます。クラウド型は基本的に利用するすべての企業が決まった機能の中で使っていくため、自社の独自の要件に合わせた細かなカスタマイズは難しい場合があります。

●オンプレミス型
自社でサーバーやネットワークを構築し、システムを運用するタイプです。サーバーを管理できる人材も必要になる場合がありますが、高いカスタマイズ性があり、費用はかさむかもしれませんが自社の要件に合わせて自由にシステムを開発・改修していくことも可能です。
デメリットとしては導入・運用コストが高いことが上げられます。サーバーやソフトウェアの購入費用、開発費用など、オンプレミス型は初期費用が高額になりがちです。また開発や導入など多くの工数がかかるため導入にも時間がかかります。

●パッケージ型
すでに完成されたソフトウェアを購入し、自社のサーバーにインストールして利用するタイプです。ある程度、カスタマイズも可能でパッケージをベースにして自社独自の機能を追加したり既存機能を改修して利用していくこともできます。オンプレミス型と似ていると感じられるかもしれませんが違いとすると、メリットとしては既に基本となるシステムができているためオンプレミス型よりも安く自社用のカスタマイズをすることもできます。但し、どうしても融通かきかず改修できないこともパッケージ型はあります。
デメリットは、クラウド型よりは高コストとなってしまうことです。あとはソフトウェアを購入する必要があるため初期費用の負担はかかってきます。

4.ポイント管理システムの選び方

ここではポイント管理システムの選び方をご案内いたします。

4-1.自社のビジネスに合ったシステムであるか

ポイント管理システムは、実店舗を対象としたものやECサイト向けのもの、リアルとバーチャルの両方をカバーするものなどそれぞれタイプがあります。業種や販売チャネルによって合うものが異なりますので、自社のビジネスに合った機能が備わっているかを見極めることが重要です。

●実店舗中心のビジネスを行っている場合
決済システム(POSレジなど)との連携がスムーズで、ポイント付与・利用がレジで簡単に完結できるシステムを選びましょう。顧客がスマホアプリや会員カードで手軽にポイントを貯められる仕組みも重要です。

●ECサイト中心のビジネスを行っている場合
サイトの構築プラットフォーム(Shopify、EC-CUBEなど)との連携機能が不可欠です。また、オンライン上での顧客の行動履歴を細かく分析できる機能や、メールマガジン、SNSとの連携機能が充実しているかを確認しましょう。

●リアル(実店舗)とバーチャル(ECサイト)の両方でビジネスを行っている場合
顧客がどちらのチャネルでも同じようにポイントを貯めたり使ったりできる、オムニチャネル対応のシステムを選ぶ必要があります。顧客情報やポイント残高が一元管理できることが必須条件です。

4-2.導入コストとランニングコストを比較検討する

ポイント管理システムを運用していくコストについての比較を行います。クラウド型はランニングコストがメインですが、オンプレミス型やパッケージ型は初期費用がメインとなります。年単位でのコストシミュレーションを行っていくことで費用面でも自社に合ったシステムも見えていきます。

●初期費用としてかかるもの
システムのライセンス費用、初期設定費用、カスタマイズ費用(開発費用)など。

●ランニングコストとしてかかるもの
月額利用料、保守・サポート費用、サーバー費用(オンプレミス型の場合)など。

4-3.必要な機能は網羅されているか?

自社のビジネスで絶対に必要と思う機能やあると便利な機能をリストアップして、それがどれくらい網羅されているかを確認しましょう。

●必須機能の例
ポイント付与・利用機能(購入金額、来店回数など)
会員情報の一元管理
基本的なデータ分析機能

●あったら便利な機能の例
顧客ランク分け機能
クーポン発行・キャンペーン管理機能
他社ポイントサービスとの連携機能
スマートフォンアプリとの連携機能
BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)との連携機能

4-4.サポート体制とセキュリティ対策は万全か?

やはりシステムに不慣れな場合や、システム専任担当がいない場合には安心できそうなサポート体制があるかも重要な判断基準になります。また顧客の個人情報や購買履歴を扱うのでセキュリティについても忘れてはならない要素です。

●サポート体制
導入時の初期設定サポート
導入後の運用サポートの方法(電話、メール、チャットなど)
トラブル発生時の対応時間や体制

●セキュリティ対策
通信の暗号化(SSL/TLS)
データのバックアップ体制
不正アクセス対策
プライバシーマークなどの認証取得状況

5.主なポイント管理システムのご案内

ここでは主なポイント管理システムをご案内いたします。

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