アルコールチェッカーアプリで遠隔地からのチェックや運転記録保持を手軽に

情シス

社用車を持っている企業や、タクシー・バス・配送車を持つ運送業では、法令で運転士に対してアルコールチェックを行う義務を負っています。このアルコールチェックはアルコールチェッカーアプリを導入すると、場所にとらわれずに遠隔地からでもアルコールチェックを行うことができます。また法令による1年間の運転記録保持もでき、同時にペーパレス化も実現して紙の管理にかかる手間を削減することもできます。ここではアルコールチェッカーアプリ未導入企業の安全運転管理者の方に向けて、アプリの種類や機能、導入のメリット・デメリットをご案内しています。この記事を読んでぜひ導入に向けてアプリの選定に進んでみてください。

1.アルコールチェッカーアプリとは

ここではアルコールチェッカーアプリとはどのようなものかや、なぜアルコールチェックが必要とされるのか、必要とされる背景やチェックの実施形式などをご案内します。

1-1.そもそもアルコールチェッカーアプリとは

アルコールチェッカーアプリとは、体にアルコールが残っていないかアルコール検知器で測定したデータを記録しておくアプリのことです。iPhoneでもAndroidでもアルコールチェッカーアプリはあり、スマホとbluetooth接続式のアルコール検知器をペアリングして利用します。
主に自動車の運転を行うバスやタクシー、配送業の運転士や、社用車やレンタカーを使う営業社員などが利用しています。ちなみにアルコール検査自体は、電車の運転士や飛行機のパイロットも行っています。
ここでは「アプリ」という表現をしていますが、アルコールチェッカーアプリの中には、アプリストアでは配信せずに、ブラウザからURLを入力して起動するタイプのアプリも存在しています。

1-2.なぜアルコールチェックが必要か

アルコールチェックは道路交通法で、事業を行うために車を運転するするすべての人に義務付けられています。簡単に言うと、緑ナンバーを運転しているバス、タクシー、運送業のドライバーはもちろん対象ですが、一部の基準を満たす事業所の白ナンバー車を運転する従業員も対象になります。一部の基準とは、11人以上が乗車できる白ナンバー車が1台ある、又は白ナンバー車が5台以上ある、というものです。簡単に言うと社用車が5台以上ある会社はアルコールチェックの対象です。なお、通勤に自家用車を運転する場合は、アルコールチェックの対象とはなりません。
アルコールチェックの実施は義務のため、行わなかった場合は50万円以下の罰金が課される場合があります。アルコールチェックは酒気帯び運転や酒酔い運転を起こさないためのものです。法律で定められた義務で、乗車前にうっかり忘れてはいけないことなのです。

1-3.アルコールチェックの実施形式

アルコールチェックは、道路交通法で安全運転管理者が運転者のアルコールチェックを目視などで確認し、その記録を1年間保存するというものです。1年間保存するアルコールチェックの記録には、運転者の氏名、日時、車両情報、確認方法、酒気帯びの有無、確認者の氏名などを記載する必要があります。
記録は電子データでも紙に記載したものでもよく、アプリを使ったアルコールチェックの記録も可能となっています。

1-4.アルコールチェックが義務化された背景について

法律でアルコールチェックが義務化されたのは、痛ましい交通死亡事故があったからに他なりません。2021年6月に小学生5名が死傷した千葉県八街市の飲酒運転事故が義務化の発端です。飲酒運転で居眠り状態であったトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、2人が亡くなり、1人が重体、2人が重症というものでした。
この事故は白ナンバーのトラックであったため、2022年4月に白ナンバー車を5台以上持つまたは11人以上の定員の車を持つ企業に対してアルコール検査が法律で義務付けられました。なお、緑ナンバー車のアルコールチェックは2011年5月1日から実施されています。

2.アルコールチェッカーアプリの種類

アルコールチェッカーアプリは、機能が単純なものから車両管理機能を備えたものまで3種類があります。

2-1.アルコールチェック特化型アプリ

アルコールチェック特化型アプリは、余計な機能が付いていないアルコールチェックの結果を記録することに特化したアプリです。3種類あるうち価格帯ではもっとも安いものになります。法令で求められているアルコールチェックの項目をアプリに記録して、管理者へ送信できようになっています。

2-2. IT点呼一体型アプリ

IT点呼一体型アプリは、管理者と離れた場所で運転を開始する場合に、アルコールチェックと点呼を同時にできるアプリです。例えば営業形態や運転士の負荷軽減のため、管理者がいる車庫(事務所)で点呼を行わない場合などに利用されます。管理者と遠隔地にいる運転士をスマートフォンのIT点呼一体型アプリでつなぎ、ビデオ通話や電話などでの点呼とアルコールチェックの両方が可能になるものです。

2-3.車両管理一体型アプリ

車両管理一体型アプリは、運転日報や車両台帳、走行した位置、運転の安全評価など運送業の業務管理に必要な機能と、アルコールチェック機能が合わさったアプリです。様々な機能があるためアルコールチェック機能はその中の1機能という位置づけです。各機能を使って安全確保や生産性向上、コンプライアンス、収益性向上にもつなげていくことができます。

3.アルコールチェッカーアプリの機能

ここではアルコールチェッカーアプリに搭載されている機能をご案内します。

3-1.アルコールチェック機能

あらかじめアルコール測定器とスマートフォンをbluetoothでペアリングさせる必要がありますが、アプリを起動して測定ボタンを押すことでアルコール計測を開始することができます。測定方法は息を測定機に吹きかけると、アプリ上にアルコール測定値が表示されます。
測定した値はアプリから管理社へメール送信やクラウドへの保存を行って提出することができます。
また、アプリによってはbluetooth対応の測定器を使わず、測定後のアルコール測定器を撮影して記録していくタイプのものもあります。

3-2.チェック未実施のアラート機能

事前設定をすることで、アルコールチェックを行わずに運転を開始した場合にアラートのメールを管理者とドライバーへ送って未チェックを通知するアプリもあります。

3-3.アルコール検知時の管理者への自動送信機能

アプリでアルコール測定をした結果、基準値を上回ってアルコール値が計測された場合は自動的に管理者へ結果を送信することができます。もしもわずかに基準値を超えていたから報告しなくていいかと気が迷ったとしても、、、結果は即座に管理者へ自動送信される機能です。

3-4.顔認証や位置情報を使ったなりすまし防止機能

アプリの中には、不正なアルコール検査を防ぐために測定時に顔認証を行うものや位置情報を取得するものもあります。アプリを使った場合、遠隔地にいてもアルコールチェックの結果を管理者が取得できることが特徴ですが、物理的に管理者の見えないところでチェックを行うため他人が息を吹きかけるといった不正も起こりえてしまいます。顔認証や位置情報機能が付いたアルコールチェッカーアプリを利用するとなりすましも防止することができます。

3-5.アルコールチェック記録の確認機能

アルコールチェッカーアプリで記録した情報は、メールで管理者へ送信することで保存したり、クラウド上保存してブラウザを利用して管理画面から確認することもできます。アプリによってはクラウド上への保存機能が付いていないものもありますが、いずれのアプリであっても法令で記録することになっている事項(運転者の氏名、日時、車両情報、確認方法、酒気帯びの有無など)は記録に残すことができます。

4.メリット

アルコールチェッカーアプリを導入することのメリットをご案内します。

4-1.法令に沿ったアルコールチェックを行うことができる

アルコールチェックは法令に定められた罰則付きの義務です。そのため、法令で定められたチェック事項や記録事項を守って日々のチェックを行っていく必要があります。この法令順守の観点でも、アルコールチェッカーアプリを使うと法令で必要とされている記録事項(運転者の氏名、日時、車両情報、確認方法、酒気帯びの有無など)を必須で入力させることができるため、必要な情報をスムーズに取得することができます。間違った入力をしていないかの確認などの管理は必要となりますが、アプリでアルコールチェックを行っていくことで法令に沿ったアルコールチェックを運用していくこともできます。

4-2.遠隔地でもアルコールチェックを行うことができる

法令ではアルコールチェックは安全運転管理者が実施することになっています。安全運転管理者は、一定台数以上の自動車を持つ事業所に配置する必要があり公安委員会への届け出も必要です。通常、安全運転管理者は車庫にいるのが一般的であるため、車庫外の遠隔地で勤務を開始する場合などは、アルコールチェッカーアプリを使うことで、遠隔地の検査結果を車庫にいる安全運転管理者が確認してGOサインを出すことができます。

4-3.アルコールチェック業務をペーパレス化できる

アルコールチェックの確認から記録、保存までアプリを利用することで、アルコールチェック業務をペーパレス化することができます。運送業では何かと紙文化が残りがちかと思いますが、アプリを利用することで紙の回収や、ファイリング、保管、期限が来たものの廃棄といった作業が不要になります。事務の手間もアプリであれば削減することができます。

5.デメリット

アルコールチェッカーアプリを導入することのデメリットをご案内します。

5-1.スマートフォンなどの機器が必要となる

アルコールチェッカーアプリはスマートフォン上で利用するため、社用スマホを未導入の場合は新たに導入する必要がかかります。スマホの導入はスマホ機種の本体代金のほかに、毎月の通信料が発生してきます。まとまった台数を導入する場合は複数の通信業者に見積を取ると値引きを引き出しやすいこともありますので、ぜひ法人向けにスマホを販売している業者に問合せしてみてください。

5-2.コストがかかる

事業所で点呼やアルコールチェックが完結できるのであれば、少ないコストでアプリを使ったアルコールチェックを運用することは可能ですが、多くの台数を保有する事業者でアプリを使う場合はコスト負担が大きくなることがあります。既に社用スマホを導入している場合は、アプリやbluetooth対応のアルコールチェッカーの導入で済むため費用負担も和らげることができます。社用スマホが未導入の場合は、スマホ端末代や月額の通信料も加えてかかり費用負担が大きくなってきます。そのような場合は、アルコールチェックだけでなく車両管理アプリも同時導入して車周りの業務を丸ごと電子化することで費用をカバーする検討を行うこともおすすめします。

6.代表的なアルコールチェッカーアプリのご案内

ここでは代表的なアルコールチェッカーアプリをご案内します。

区分 サービス名 提供元
アルコールチェック特化型アプリ あさレポ 鈴与シンワート株式会社
アルピット アイリスオーヤマ株式会社
ホワイト安全キーパー テレニシ株式会社
IT点呼一体型アプリ スマート 株式会社インフォセンス
アルキラーNEX 株式会社パイ・アール
ALCクラウド 株式会社オートバックスセブン
車両管理一体型アプリ SmartDrive Fleet Basic 株式会社スマートドライブ
Bqey 株式会社東海理化
ロジポケ X Mile株式会社

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