採用業務を担当しているものの他の人事業務とも兼務しており、応募者連絡など煩雑なことの多い採用業務をどうにか効率化したいとお考えの中堅企業や中小企業にお勤めの人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは採用業務を効率的に行うことのできる採用管理ツールをご案内しています。採用管理ツールとはそもそもどのようなものかや、採用管理ツールの各機能、導入のメリットなどをご案内しています。ぜひこの記事を読んで採用業務の効率化のため採用管理ツールの選定に進んでみてください。
1.採用管理ツール(採用管理システム)とはどのようなものか
ここでは採用管理ツールとはどのようなものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。
1-1.採用管理ツールとは?
採用管理ツール(採用管理システム)とは、企業内の採用業務を効率的に行っていくためのシステムで、以前は中途採用での利用が主でしたが近年では新卒採用でも利用が広がっています。主な役割としては、応募受付から選考、内定、入社に至るまでの一連のプロセスを採用管理ツール上で一元管理するものです。例えば、選考の開始段階では、応募者の基本情報、履歴書・職務経歴書などの書類情報の管理に始まり、選考が進むに従い応募者ごとに選考ステータス管理、面接の評価記録、応募者とのメール送信などを一つのシステム上に集約して業務行っていくことができます。これにより、複数のツールやファイルを行き来することなく複数の採用担当者で業務を行っていても簡単に情報共有を行っていくことが可能です。さらに採用フローの最初から最後までの全体像を把握し管理していくことが可能なため、採用活動の成否をデータを活用して確認していくこともできます。採用管理ツールの利用を通して企業の採用活動を効率化したり強化していくことが可能です。なお、採用管理ツールは、ATS(Applicant Tracking System)とも言われることがあります。
1-2.これまでのアナログな採用管理業務とその課題を振り返る
採用管理ツールが登場する前や、現在でも採用管理ツールを利用していない企業では、採用管理業務をエクセルやGoogleスプレッドシートであったり、電子メール、紙の書類を使い行っていることが主であったと思います。
これらは一部デジタルツールは使っているものの情報がエクセルやメールなどに飛び散っており、手間がかかり煩雑なことからアナログな採用管理方法と言うことができます。インターネットを利用した転職エージェントやスカウト、多様な転職サイトなど、近年様々な採用方法が出てきた結果、採用業務の規模も拡大して、採用業務自体が煩雑になってきています。
例えば、情報が分散してしまい情報管理が煩雑になる点では、複数の求人媒体へ求人を同じ求人を掲載するために二度打ち、三度打ちを行っていたこもがあります。また、複数の人材紹介会社や転職エージェントを利用してそれぞれから応募者を集める場合も、後に紹介料の支払いがあるためエクセル上で応募者ごとに人材紹介会社ごとに選考ステータスと共に転記を管理するなどの作業も必要となります。人材紹介会社を増やし応募者が増えてきた場合は入力ミスや重複なども起こり得てしまいます。
また情報管理に関連して、応募者や求人数が増えてくると、応募種類の改修、面接日程の調整や合否通知などの応募者とのメールのやり取りも、進捗管理と共に煩雑になってきます。特に採用担当者当人のメールアドレスで行っていると社内の採用業務関連メンバーへの情報共有にタイムラグが生じ、情報を使ったコミュニケーションも余計に時間がかり非効率となってしまいます。
1-3.採用管理ツールで解決できる課題
採用管理ツールは、これら既存の採用管理の課題をシステムが提供する機能で解決することができます。情報管理の面では、まず求人票の入力も採用管理ツールをへ一度行えば複数の求人サイトへ求人票を自動で掲載することも可能です。また、各求人サイトからの応募があった際にも応募者の情報を採用管理ツールへ取り込み一元管理することが可能です。これにより、データ入力ミスや応募者情報の転記作業が不要となり、情報管理上のリスクも解消することができます。
応募者との間で行うコミュニケーションについても効率化でき、 面接日程の調整も応募者に対してシステム上で回答をしてもらうこともでき、日程も速やかに確定することができます。このため、担当者と応募者間の連絡のやり取りの手間も確認ベースのものにしていくことができ、連絡業務の手間も削減していくことができます。もちろん合否連絡やリマインド通知は、あらかじめ用意されたテンプレート使うことも可能です。
また、各サイトからの応募者情報を一元管理することで、全応募者の最新の選考ステータス(書類選考中、一次面接予定、内定など)も採用管理ツール上で管理することができます。どの募集媒体や人材紹介会社から来た応募者なのかも同時に管理でき、紹介経路ごとの紹介料の算出や評価にも利用することができます。
2.採用管理ツールの主な機能
ここでは採用管理ツールの主な機能についてご案内いたします。
2-1.求人媒体との連携および応募受付の自動化機能
採用管理ツール自体は、採用サイトや人材紹介会社、転職エージェント、スカウトサービスなどへ求人票を展開する機能を持っています。そのため複数社のサービスを利用する場合でも、求人票の入力を1回で済ますことができます。さらには、入力した求人票は自社のホームページ上の採用サイトからリンクして、自社ホームページ用に利用することもできます。この際ヘッダーやフッターを自社ホームページのものにすることもできます。
また各社のサービスに求人情報を掲載後、実際に各サイトから応募者が来た場合にも採用管理ツールへ応募者情報を各サービスから取り込むことができます。これにより各サイトから応募があった場合でも応募受付後に統一してサンキューメールを自動送信することも可能です。
2-2.選考ステータスの管理機能
応募者や求人票の数が増えた場合でも、先行ステータス管理機能によって先行状況をわかりやすく可視化することができます。ステータスは「書類選考中」「一次面接」「二次面接」「最終面接」「内定通知済み」「辞退」などのステップを利用することができます。定型的なステータスを応募者ごとに設定することで、応募者への連絡の抜け漏れを防止したり、採用業務メンバー内での円滑な業務にもつなげていくことができます。この先行ステータスは、採用管理ツール上のダッシュボード上で各ステータスごとの母数対通過数のかたちで進捗数をパイプライン管理していくことができます。この仕組みを用いて目標の採用人数に向けて、各ステータスでのふるい落としの状況を随時把握できます。
複数の採用担当者がおり業務を分担したり共同したりして行っている場合でも全員で最新のステータスをシステム上で確認できるため、常に最新のステータスをもとにして各自が業務を行っていくことができます。
2-3.面接日程の調整、リマインド、Web会議ツール連携機能
採用管理ツールで業務の手間を減らしていく機能の中で重要なもののひとつとされているのが、この日程調整やWeb会議ツール連携機能です。人事担当者の採用業務のうち時間や労力を要して煩雑とも言えるものが、この面接日程の調整やWeb会議の調整です。例えば、社内でGoogleカレンダーなどのスケジューラーを導入ている場合は、面接官の秋を確認後に候補日を自動で抽出して応募者と日程調整することもできます。会議室の在庫管理もスケジューラーで行っている場合は会議室もあわせて押さえたり、ZoomやGoogleミートなどのオンライン面接のURLも作成、送信することも可能です。また一度作成した面接予定のリマインドを面接官や応募者にメール送信することも可能です。
2-4.選考履歴と評価の記録機能
書類選考や面接選考の結果を人事担当者や面接官が記録を残すことができるのが選考履歴と評価の記録機能です。この機能内には、スキルや経験、カルチャーマッチなどの評価項目があるため、フリーフォーマットで個人の主観をメインとした記録ではなく、予め設定した評価基準に沿って記録を付けることができます。社内で次の選考へ進めるかや採用するかといった判断を面接官以外が行う場合でも決裁者がこの評価記録を見ることで採用可否を判断することもできます。そのため選考履歴や評価の記録は決裁者に向けた「エビデンス」として利用することもできます。
2-5.採用活動データの分析・レポート出力機能
採用活動に関するデータ分析機能があることも採用管理ツールの特徴の一つです。もともと採用管理ツール上で選考状況を更新していくと、どのような求人サイトからきた応募者が、何名書類選考で残り、何人面接で残り、最終的に何人が採用できたか、といった情報が集まってきます。これらの情報をもとに採用がうまくいっているか、うまくいっていない場合はどこに問題がるのかを分析することができます。
例えば、応募経路別の応募数に着目すると、応募数の多い求人サイトをあぶりだすことはもちろんのこと、書類選考の通過割合の高い転職エージェントなども確認することができます。また、最終的な内定までどれくらいの時間がかかっているか、あるいは内定辞退率などもシステム上で把握することができます。これらのデータはグラフやレポート形式で可視化することができるので、例えば書類選考の通過率の悪い求人サイトであればコスト削減のために掲載をやめて、逆に書類選考の多い傾向の別の求人手段に採用予算を移すなどもデータをもとに改善していくこともできます。
3.採用管理ツールの導入メリット
ここでは採用管理ツールの導入メリットについてご案内いたします。
3-1.採用担当者の工数を削減できる
これが採用管理ツール導入の一番のメリットと言えるかもしれませんが、採用担当者の工数減をあげることができます。面接の日程調整やWeb面接のURL発行、応募者への連絡などはシステムを使って少ない手間で行っていくことが可能です。応募者への対応プロセスを自動化できるため、応募者が増えても業務量が応募者に比例して大幅に増えていく、といったことは防ぐことができます。ITツールの導入全般に言えるメリットですが、効率化してできた時間については本来の採用業務に集中する時間として使ったり、求人数や採用予定に員数が増えて案件数が増えてきても必ずしも人を増やすに効率的に業務を行っていくこともできます。
3-2.データが蓄積でき分析することにより採用戦略の立案や修正もできる
採用に関するデータ分析ができることも、採用管理ツールの売りの1つと言えます。採用活動を行う際には、間口を広げ応募者を増やすため求人サイトであったり転職エージェント、スカウトサービスなど様々なサービスを利用することがあると思います。人材紹介料などの経費も発生するため、各サービスを評価する必要もあります。分析機能を利用するとどのサービスからの選考通過者や内定者が多いかがわかるため各サービスがどこまで自社に貢献しているか可視化することができます。また、こういった職種の求人はこのサイトが得意など傾向が見えてくる場合もあるので、採用予算の割り当てにもデータを活用することができます。このほかにも、選考フェーズごとの通過率、平均的な採用期間、内定辞退率といった指標も自動で集計することができ、自社内の採用活動の振り返りや改善にも利用することができます。
4.主な採用管理ツールのご案内
ここでは主な採用管理ツールをご案内いたします。
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