クラウドSIMとは、言葉からはeSIMに似た感じは受けるけれども、一体どんなサービスなのか、ちょっと気になって調べてしまった中堅・中小企業の情報システム担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。クラウドSIMは「SIM」と付くからにはもちろん通信サービスをのことで、複数の通信会社の通信回線の中から1社の回線を利用できるものです。データ通信端末などクラウドSIMを利用できる通信端末は限られていますが、広い通信エリアが利用できるなどのメリットもあります。この記事では、クラウドSIMとはどんなものかや、eSIMとの違い、クラウドSIMのメリットやデメリットをご案内いたします。MVNO回線を使っているので速度の面で課題もあるかと思いますが、ぜひ自社内で利用できるか一度検討してみてください。
1.クラウドSIMとは
ここではクラウドSIMとはどういうものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。
1-1.そもそもクラウドSIMとは
クラウドSIMとは、主にデータ通信の専用端末(ポケットWi-Fiのようなもの)で採用されている自動でいずれかの大手キャリアの通信回線に接続される通信サービスのことです。
既に日本国内でサービス提供されており、クラウドSIMを使ったデータ通信端末を契約すると、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの回線を利用して、インターネット通信サービスを受けることができます。もちろんデータ通信端末なので、Wi-Fiでパソコンやタブレットなどと接続してそれらの端末でインターネットが利用できるようになります。ちなみに、クラウドSIMが利用できる通信端末は、データ通信専用端末以外には、固定型の置くだけWi-Fiであったり、少ないですがクラウドSIMを利用したスマートフォンもあります。
なお、クラウドSIMという名前の通り、クラウドSIMを利用している通信端末には物理的なSIMカードは入っていません。ただSIMカードの情報が無いと通信端末は通信できませんので、データ通信端末は通信を開始する際にサーバー上にあるSIMカード情報をその都度ダウンロードして利用しています。こういった仕組みからクラウドSIMと呼ばれています。
1-2.クラウドSIMの仕組み
ここではクラウドSIMの仕組みについてご案内いたします。
冒頭でクラウドSIMは多くはデータ通信端末で使われており、通信の都度SIMカードの情報を通信端末にダウンロードして通信を行うとご説明しました。このクラウドSIMを利用したデータ通信端末は、MVNO(仮想移動体通信事業者)と言われる大手通信キャリアから回線を借りて低価格の通信サービスを販売している業者がデータ通信端末や月額通信サービスを販売・提供しています。そのためまず注意しなければならないのは「クラウドSIM」といったサービスをNTTドコモなどの大手通信キャリア自体は提供を行っていないことです。NTTドコモなど通信キャリアのホームページで検索してもクラウドSIMというサービスはヒットしません。
クラウドSIMを利用しているデータ通信端末を例にしてここからどのような仕組で通信するかというと、まずデータ通信端末を起動するとまずそのデータ通信サービスの契約先(MVNO)が自社で持っているSIMカード情報が置かれているクラウドサーバへ自動で接続します。そこで、今データ通信端末がある場所で通信できる通信キャリア(NTTドコモ・au・ソフトバンクなどから1社分)のSIMカード情報をデータ通信端末にダウンロードします。ここで注意点は、データ通信端末を利用している人は通信キャリアは選べないという点です。理由はMVNOが自動で通信キャリアを選ぶためです。
例えば、NTTドコモのSIMカード情報がダウンロードされた場合は、そのデータ通信端末は、ドコモの回線でインターネット通信を利用することが可能です。なお、ここでクラウドSIMでの通信に使うと説明している大手通信キャリアの回線は、MVNOが大手通信キャリアから借りたものを使っています。大手通信キャリアから借りた回線を自社の会員で共用するため回線速度は大手通信キャリアに直契約をする場合に比べて遅くなります。
1-3.クラウドSIMの対応端末
これまでクラウドSIMの利用例として、データ通信端末を引き合いに出して説明を行ってきました。ここではクラウドSIMに対応している通信端末をご案内いたします。
・データ通信端末
データ通信端末とは、持ち運び可能なデータ通信端末のことです。よく例えに出されるポケットWi-Fiと同じで、データ通信端末は携帯電話の通信ネットワークと接続します。データ通信端末とパソコンやタブレットなどをWi-Fi接続することで携帯電話の通信ネットワークを利用したインターネット通信が可能になります。
・置くだけWi-Fi
置くだけWi-Fiとは、データ通信端末を室内に置いて利用する目的でサービス提供されている通信端末のことです。室内利用向けの通信端末なので、Wi-Fiの通信範囲がデータ通信端末より広めになっていたり、同時接続が可能な端末数もデータ通信端末よりは多めになっています。置くだけWi-Fiには事務所に光ファイバーを引かずにインターネット通信を利用できるようになるメリットがあります。
・スマートフォン
数は少ないですが、クラウドSIMに対応したスマートフォンも存在します。スマートフォンの通話や通信にクラウドSIMを利用するというものです。クラウドSIM機能の付いているスマートフォンで利用できるため、普通に販売されているiPhoneやAndroidのスマートフォンでは利用できません。クラウドSIM機能が付いているスマートフォンを購入する必要があります。
2.クラウドSIMとeSIMの違い
ここでは、クラウドSIMとeSIMの違いについてご案内いたします。
2-1.eSIMとは
ここまでご説明すると、クラウドSIMとeSIMの違いについて知りたい方もいらっしゃるかと思います。まずここでは、eSIMについてあまりご存じではない方にもわかるようeSIMとはどんなものかご案内いたします。
eSIM(読み:イーシム)とは、通信会社が提供する通話やインターネット通信をスマートフォンなどで利用する際に、その通信会社が発行した物理SIMカードを使わずに、スマートフォン内に内蔵された電子化されたSIMカード(eSIM)を使って通信会社に接続し、通話やインターネット通信が利用可能となる機能です。
基本的にはスマートフォンに搭載されている機能で、他にもタブレットやPCにも搭載されているものがあります。物理的なSIMカードが不要になるので、SIMカードの紛失や破損リスクがなくなり、SIMカード自体の配送を待つ時間も不要になります。海外渡航時にも、現地キャリアの物理SIMカードを入手する手間も省いて現地の通信サービスを利用できます。
eSIMは常時1つの通信会社のみ利用できるため、別の通信会社に変えたい場合は、eSIMの再設定が必要です。
2-2.クラウドSIMとeSIMの違いについて
ここではクラウドSIMとeSIMの違いについてご案内いたします。似た名前ですが、両者は同時に利用することは無い異なった性質を持つサービスです。
まずサービスの提供元ですが、クラウドSIMはMVNOが提供して、eSIMについては大手通信キャリアやMVNOが提供しています。
クラウドSIMは、MVNOが持っているNTTドコモやau、ソフトバンク、楽天モバイルの(同じMVNOを利用する他のユーザーとの)共用回線のうちどれかが提供されるのに対して、eSIMでは大手通信キャリアやMVNOのうちどこか1社と契約をして、通話やインターネット通信サービスを利用できるものです。
クラウドSIMが利用できる端末は、MVNOが販売しているデータ通信端末や置くだけWi-Fi端末、クラウドSIMに対応しているスマートフォンに限られていますが、eSIMが利用できる端末は、最新のスマートフォンであれば比較的多くのスマートフォンが対応しています。eSIMの搭載は各スマートフォンメーカーが決めています。
総合的に違いを見ると、クラウドSIMはMVNOだけが提供できる「格安さ」と「全大手キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)の通信エリア」を利用できるデータ通信端末でのサービスが主な提供内容です。対するeSIMは、スマートフォンなどで通話や通信をするために必要なになる大手通信キャリアやMVNOとの契約のために利用するものです。
3.クラウドSIMのメリット
ここではクラウドSIMのメリットについてご案内いたします。
3-1.1つの通信契約で大手通信キャリアの通信エリアを利用できる
クラウドSIMのもっとも大きい機能的なメリットかもしれませんが、(主にデータ通信端末を利用する際ですが)全大手通信キャリアの回線のどれかを通信に使うため、必然的に日本国内ではかなり広い通信エリアで利用することがあります。例えば、NTTドコモは圏外ですがソフトバンクは通信可能な場所があった場合はクラウドSIMではソフトバンクの回線を利用して通信することができます。
3-2.端末にSIMカードの抜き差しが不要になる
クラウドSIMであれば、全大手通信キャリアの通信回線をシステムが自動選択して利用者に通信サービスを提供します。同じことを通常のSIMカードで行おうとすると、大手通信各社の契約情報が入ったそれぞれのSIMカードを通信端末(主にデータ通信端末です)に抜き差しする手間が必要になります。
あまりSIMカードを抜き差しするためには全通信キャリアとデータ通信契約をすることになり費用面では現実的ではありませんが、SIMカードを抜き差しせずとも通信各社のエリアを利用できる意味でメリットとしてご案内しています。
3-3.万が一の通信障害にも別の通信会社を使って継続できる
万が一、どこかの大手通信会社で携帯電話の通信ネットワークに障害が発生しても、他の通信会社の回線も利用できるためインターネット通信を継続することが可能です。携帯電話のネットワークの通信障害が2社以上重なって起きることはかなり稀とも言えます。
3-4.海外でも利用もできる
クラウドSIMを使ったデータ通信端末などのサービスは、海外でも利用することができます。クラウドSIMを提供するMVNOでは海外の通信会社とも提携を行っており例えば、データ通信端末を海外旅行でそのまま持って行っても利用することができます。
4.クラウドSIMのデメリット
ここではクラウドSIMのデメリットについてご案内いたします。
4-1.通信大手の回線を借りたMVNO回線を使うため速度はそこまで速くない
クラウドSIMで利用する回線は、MVNO業者がNTTドコモやau、ソフトバンク、楽天モバイルから借りた回線を利用するため、通信速度はそこまで速いスピードを出せないデメリットがあります。
4-2.大手通信キャリアのMVNO回線を利用するがキャリア選択はできない
クラウドSIMは大手通信キャリアのMVNO回線を利用しますが、利用者がキャリア選択をすることができません。例えば、クラウドSIMを使ったデータ通信端末を使っていても利用者はキャリア選択できず、自動で割り当てられる通信会社の回線を利用します。
4-3.クラウドSIMはデータ通信端末など用途が限定的
クラウドSIMは、クラウドSIMに対応している端末でのみ利用できます。そのため現状は、データ通話端末や置くだけWi-Fi、ごく一部のスマートフォンに用途が限られています。
5.クラウドSIMを利用している通信サービスのご案内
ここではクラウドSIMを利用している通信サービスをご案内いたします。
区分 | サービス名 | 提供元 |
データ通信端末 | AiR WiFi | 株式会社FREEDiVE |
ZEUS WiFI | 株式会社HUMAN LIFE | |
MUGEN WiFi | 株式会社FREEDiVE | |
置くだけWi-Fi | DoRACOON | NTTメディアサプライ株式会社 |
スマートフォン | jetfon | 株式会社MAYA SYSTEM |
コメント