中小企業こそ経費精算システムを導入して経理も申請者も上長も全員で効率化

情シス

この記事では中小企業が経費精算システムを導入した場合に、解決できる課題やメリット・デメリットをご案内します。中小企業では紙やエクセルでの経費精算が多い現状だからこそ、経理担当者、精算を行う社員、承認する上長それぞれの手間を減らせる経費精算システムを導入すべきではないでしょうか。課題は導入にかかるシステムのコストかもしれませんが、それを上回るメリットもあると言えます。この記事を参考に、経費精算システム導入について最初の社内提案を行ったりシステムの比較検討を行い、ぜひ経費精算システム導入して経費精算を効率化してみてください。

1.中小企業における経費精算システムとは

ここでは経費精算システムの概要と中小企業で必要とされている理由についてご案内します。

1-1.経費精算システムとは

経費精算システムとは、交通費や事務用品の購入費など日常的な経費を手間をかけずに精算するシステムのことです。経費精算システムを入れていない会社では、社員が建て替え払いで電車に乗ったり物品を購入した際に、後日交通費の明細や物品の領収書を出して現金で精算することが多いのではないでしょうか。この経費精算システムを導入すると、アナログの経費精算で経理担当や社員にかかっていた手間や負荷を軽減することができます。

1-2.中小企業で経費精算システムが必要とされる理由

中小企業では様々な経費精算業務がエクセルや紙の伝票を使い現金精算で行われていることも多いのではないでしょうか。紙の伝票や現金を使った精算はこれまで一般的ではありましたが、経理担当、精算を行う社員、承認を行う上長のそれぞれで行き来があり、時間や手間が取られていました。また、誤記載、規定に反した経費の精算申請、不正などへの対策も、目視でチェックするしか方法がなく、ある意味では手間と向き合うことも経費精算の宿命だったのかもしれません。

ですが人手が手薄になりがちな中小企業だからこそ、経費精算システムを導入して経理担当、一般社員、承認する上長が利用することで、精算ミスが減ったり、関わる社員の時間や手間を軽減し、経費精算を全体で効率化することができます

1-3.クラウド型の経費精算システムが中小企業にはおすすめ

クラウド型と言われると、よくわからない・・・という方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言ってしまうと、契約さえすれば、すぐに利用できるシステムのことです。経費精算システムはクロームやエッジといったブラウザ上で利用するため、インターネットができるパソコンがあればすぐに利用することができます。特別なサーバーやソフトのインストールは不要です。

小規模な企業向けの代表的なクラウド型経費精算システムでは「freee支出管理」「ジョブカン経費精算」「ジンジャー経費」「マネーフォワード クラウド経費」などがあります。

また50名以上の企業向けの代表的なクラウド型経費精算システムでは「楽楽精算」「TOKIUM経費精算」「HRMOS経費」などがあります。

2.解決できる課題

ここでは経費精算システムを中小企業に導入すると解決できる課題についてご案内します。

2-1.経費精算をペーパレスで行える

交通費や日常経費の精算方法は、立て替え払いを行った社員が経費精算システムに申請を打ち込んで開始します。以降、上長による申請の承認から経理担当の支払いまで、経費精算システムを使うためペーパレスで経費精算を行うことができます。

なお、領収書についてはスキャンしたデータを申請に添付して利用しますので、承認や支払いの際に確認することもできます。経費精算システムの中には領収書の読み取り機能もあり、記載されている金額や利用日を読み取り申請画面へ自動入力できるものもあります。

2-2.仕分を自動で行える

経費精算システムを使うと、自動で精算の都度、勘定科目を設定することが可能です。これは、精算を行いたい社員が経費精算システムで申請をする際に、精算金額の打ち込みや利用日を打ち込む際に、「日常交通費」や「社内備品」などの経費の種類を選択します。この経費の種類には裏側で勘定科目が紐づいており、経費精算申請が上がってくると自動で仕訳まで行われる仕組みになっています。

また、会計ソフトにも経費精算システムからデータを出力すると取り込むこともできますので、経費の仕訳や会計ソフトへの反映についても手間を削減することができます。

2-3.稟議申請・承認の機能(ワークフロー機能)も活用できる

交通費や文房具などの割と少額の購入費用であれば、事前に承認が不要にして、建て替え購入後にそのまま精算することが多いかと思います。もちろん経費精算システムはこのような使い方にも対応していますが、システム内のワークフロー機能を使うと事前に社員が経費利用に関する稟議申請を行い、上長が承認する流れにすることも可能です。稟議決裁後に実際に物品を購入して、その経費精算の際に決裁された稟議とを紐づけて処理することもできます。経費の精算承認だけでなく、その前にある稟議についても経費精算システムで行うことも可能です。

2-4.規定違反の申請を自動でブロックできる

例えば社内規定で会議費は5,000円以内というルールがあった場合には、あらかじめ経費精算システムの規定違反機能に会議費で5,001円以上の申請を行った場合はエラーにする、と設定しておくことも可能です。あらかじめ規定を経費精算システムへ登録しておけば申請自体をブロックすることも可能です。差し戻しの手間も割愛することができます。その他にも、利用人数が不明な交際費をブロックしたり、領収書の添付漏れの申請をブロックするなどもできます。

2-5.交通費精算時に定期区間を自動で外す・交通系ICカードの記録を取り込みできる

経費精算システムを利用すると、交通費精算時に通勤定期の区間を除いた区間に限定して自動で交通費精算金額を算出することもできます。これはあらかじめ社員ごとに通勤定期を申請区間を登録しておく必要がありますが、通勤定期で支給している区間と重複してしまう交通費精算区間の二重支払いを防ぐことができます。例えば、東京駅から川崎駅までの通勤定期を持っている社員が、経費精算システムに東京駅から横浜駅までの交通費を申請しても、経費精算システムは定期を持っている東京駅-川崎間駅の運賃は無視して、川崎駅-横浜駅間の運賃だけを申請金額に表示するというものです。自動で交通費精算の際に定期券の区間を除外できるためチェックする場合に比べて大きな手間を削減することができます。

また、外出時に列車やバスを利用した際に使った交通系ICカードを経費精算システムに取り込むこともできます。日付、区間、運賃といった情報を打ち込む手間をかけずに経費申請することもできます。

2-6.社員への支払いを振込で行うこともできる

経費精算システムには、社員へ現金でなく簡単に振込で支払いを行えるよう、銀行の総合振込で利用できるデータを作成する機能も含まれています。現金での精算はある程度の現金や小銭が社内に必要でその準備や管理にも手間がかかっていました。かつ最近は銀行の両替に手数料もかかることから、経費の社員への支払い方法も振込にすることで、極力現金での精算を少なくすることができます。

3.メリット

ここでは経費精算システムを中小企業に導入した場合のメリットをご案内します。

3-1.申請する社員、承認者、経理担当者の時間を削減できる

経費精算のフローをペーパレス化して進めることができるため、経費精算の業務時間を削減することができます。申請する社員、承認する上長、最終的な経理処理を行う経理担当者のいずれも業務時間を紙やエクセルを使った経費精算よりも短縮することができます。

この時間削減の中には、領収書がついていない申請経費の利用規定に反する申請を行おうとしても経費精算システムがブロックし、最初から差し戻しの手間を無くすことや、自動で仕訳を行い仕訳の手間を無くすことも含めることができます。

また時間の削減だけでなく、この経費精算の業務に限れば申請者も上長も経理担当者もペーパレスで仕事を進めることができるため、テレワークや出先でも申請・承認・経理処理の業務を行うことも可能です。経費精算システムで働き方改革を進めることも可能と言えます。

3-2.計算ミスや不正を防げる

そもそも経費精算業務は、お金に直接かかわることなので、申請者も経理担当者も慎重に紙の伝票の記入や計算を行っていたかと思います。日々、そうそう間違いが発生することもなかったかもしれませんが、紙の伝票やエクセルだと、何かしら理由で間違えてしまうこともあります。

システム化を行うことで経費の種類に対してあきらかに金額が大きい場合にはアラートをだして人的ミスを軽減することもできます。また計算についてはシステムが行うため申請者や経理担当者が計算自体に関与しないため計算ミスは無くすことができます。システム化すると計算はあっている前提で単価や数量の打ち込みが正しいかの確認に注力すれば済むようになります。

経費の不正申請や間違い申請についても、アラートを出す設定を細かくすることで防ぐことも可能です。交通費については利用した経路を入力すれば経費精算システムが交通機関の正しい運賃を拾うため不正や間違いをする余地を無くすことができます。

3-3.月次の経費処理を早めることができる

月初には経理や会計の様々な締めを行い前月の実績を出していると思いますが、手間のかかる経費精算をシステムで行うことで、経費精算の完了・確定までの時間を短縮することもできます。例えば紙やエクセルで経費精算を行っていた時代は、精算の確定まで月初から5営業日かかっていたものが、経費精算システムを利用することで2営業日で済み、月次決算を早めることにもつなげることができます。

4.デメリット

ここでは経費精算システムを中小企業に導入した場合のデメリットをご案内します。

4-1.新たなコストが発生すること

経費精算システムを導入する場合、コストが増えるということがデメリットと言えます。ここまでは経費精算システムを利用すると様々な効果があることをご説明してきましたが、ここではデメリットの費用についての考え方を示したいと思います。

経費精算システムの費用に対する対価とすると、やはり申請する社員、承認する上長、最終的な経理処理を行う経理担当者の業務時間を削減できることが一番大きいのではないでしょうか。ペーパレス化で紙やエクセルの記入は不要になり、計算や仕訳もシステムがあらかじめ設定された通り間違いなく行います。また間違いや不正の申請に対しても一定の制限をかけることができ、振込で経費を支払うと現金管理の頻度も削減することができます。経費精算は全社員が利用する業務ですので、コストの問題で経費精算システムの導入が進まない場合は、全社員の生産性を向上させられることも訴えてもいいかもしれません。

5.経費精算システムの選定ポイント

経費精算システムの選定する際のポイントをご案内します。

  1. まず自社で重視したいことをリストアップする
    一例として代表的な項目を羅列していますが自社で重視することをリストアップしてみましょう。
    ・仕訳の自動化
    ・規定違反
    ・自社の会計システムと連携できるか
    ・振込での経費支払い
    ・ワークフローのカスタマイズ
    ・サポート手段(サポート動画、FAQ、チャット、電話等)の充実など
  2. 料金のシミュレーションを行う
    システムにより料金形態が異なるため課金のシミュレーションを行いましょう。利用する社員数×単価の従量課金のみで月額費用が決まるシステムや、固定金額+社員数×単価の従量課金といった形態の月額費用を採用しているシステムもあります。いずれも自社の社員数をもとにシミュレーションしてみることをおすすめします。
  3. 重視したいことと料金シミュレーションをあわせてシステムを検討する
    どのシステムも比較的同じような機能を盛り込んでいるので、自社で重視したいことをわかりやすく使えそうなシステムで値段が手頃・妥当なものを選ぶのがおすすめです。自社で重視したいことが使いやすそうかは、候補にしたシステムのサポートサイトを見ると画面や操作説明が掲載されていることもあるのでぜひサポートサイトを参考にしてみてください。

6.導入の流れ

経費精算システムを中小企業に導入する際の流れをご案内します。

  1. 経費精算システム導入について最初の社内提案をする
    この記事を参考にシステムの導入で解決できる課題やメリット・デメリットを説明し、経費精算システムの導入について社内提案してみましょう。
  2. 自社の経費精算についての課題やシステム化をして重視したいことをリストアップする
    ある程度、課題や重視したいことをリストアップして社内に意見を聞いてみる方法もおすすめです。
  3. 経費精算システムを比較検討する
    次の章のシステムのリストを参考に経費精算システムをいくつか選び、システム化して重視したいことや、料金のシミュレーションを照らし合わせて検討します。具体的な方法は前の章の選定のポイントを参考にしてください。
  4. テスト運用を行う
    経費精算システムによっては体験版があるので利用できる場合は申し込んでみましょう。経理部門を中心にテスト運用を行います。
  5. 経費精算システムの本格運用を行う
    ここまで来たらマニュアル用意や必要なら社内説明会など社員のサポート方法も検討して、経費精算システムを利用開始しましょう。

7.中小企業におすすめのクラウド型 経費精算システム

ここでは中小企業におすすめの経クラウド型 費精算システムの一例をご案内します。

区分 システム名 会社名
小規模企業向け
(従業員数50以内目安)
freee支出管理 フリー株式会社
ジョブカン経費精算 株式会社DONUTS
ジンジャー経費 jinjer株式会社
マネーフォワード クラウド経費 株式会社マネーフォワード
従業員50名以上の企業向け 楽楽精算 株式会社ラクス
TOKIUM経費精算 株式会社TOKIUM
HRMOS経費 イージーソフト株式会社

 

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