勤怠管理システムを導入しているが社員の打刻漏れが結構発生していたり、不正打刻が気になっていたりと、打刻に課題を感じていられる労務管理担当者の方も多いのではないでしょうか。昨今、スマートフォンのロック解除をはじめ顔認証による本人確認が一般に広まってきました。勤怠管理でも出勤や退勤の打刻に顔認証を利用することが比較的簡単になってきています。ここでは打刻に課題をお持ちの労務管理担当者の方に向けて、顔認証を導入して解決していける課題や顔認証システムの機能、メリット、デメリットなどをご案内します。なお勤怠管理システムをまだ導入していない場合にもこの記事を読んで顔認証を導入できるよう勤怠管理システムもご紹介しています。この記事を読み勤怠管理への顔認証の導入に向けて、ぜひ対応した勤怠管理システムの導入選定や端末の導入に進んでみてください。
1.顔認証を使った勤怠管理とは
ここでは顔認証を使った勤怠管理とはどのようなものかを簡単にご案内します。
1-1.そもそも顔認証とは
そもそも顔認証とは、自身の顔を使って本人確認を行うことです。身近な例では、スマートフォンのロック解除に利用されています。スマホでは従来はパスコードで本人であることの確認を行いロックを解除していましたが、最近はパスコードに加えて顔認証でもロック解除を行える機種が増えています。パスコードや暗証番号を入力する必要がなく、わずかな時間で本人確認ができるため利便性が高く急速に利用が広がっています。
最近はスマホの他にも電子機器が本人であることの確認をする際に顔認証を利用しているケースは増えてきています。例えば、病院でマイナンバーカードを保険証として提示する際にもマイナカードの読み取り機に付いているカメラで自身を撮影してマイナカードの本人確認をすることがあります。また海外旅行の際にも、出国審査や入国審査の際に審査ゲート内のカメラで自身を撮影してパスポートの本人確認を行う例もあります。
会社の出勤・退勤の勤怠打刻でも速やかに打刻できることから顔認証を利用するケースが増えてきています。
1-2.顔認証を利用した勤怠登録の運用方法
顔認証で勤怠打刻を利用開始する手順を簡単にご説明します。まず最初に勤怠管理システムに顔認証を利用する社員の顔写真を登録します。そしてオフィスの通用口にiPadなどのタブレットを設置して勤怠管理システムを起動しておきます。あとはタブレットのカメラで出勤時・退勤時に社員の顔を撮影、読み取りして出勤・退勤や外出などのボタンを押して打刻が行われます。
以上はタブレットを使った顔認証の運用例ですが、勤怠管理システムによっては社員のPCに内蔵されているカメラを使って本人確認を行えるものもあります。この場合は、テレワークなどタブレットの無い場所でも顔認証で勤怠を登録することが可能です。
1-3.勤怠打刻で顔認証を利用するために必要なもの
勤怠打刻で顔認証を利用するためには、顔認証に対応した勤怠管理システムとiPadなどのカメラ付き端末が必要です。既に自社が顔認証に対応した勤怠管理システムを導入していれば、基本的にはiPadなどのカメラ付き端末を導入することで利用開始することができます。もし自社で使っている勤怠管理システムが顔認証に対応していない場合や、勤怠管理システムを導入していない場合は、顔認証に対応した勤怠管理システムやiPadなどの端末を導入する必要があります。
iPadなどの端末については、対応機種を勤怠管理システム側が指定している場合が多いので、端末の機種については利用する勤怠管理システムのサポートページにてご確認ください。
2.顔認証の導入で解決できる勤怠の課題
ここでは顔認証を導入することで解決できる課題をご案内します。
2-1.速やかな打刻が可能になる
顔認証による出勤や退勤の打刻自体はそれぞれ一人に1秒とかからないため、速やかな打刻処理を行うことができます。そのため社員の出勤や退勤が重なる時間帯でも比較的速やかに打刻を行うことができます。これまでも、タイムカードやICカードなど社員が打刻機を共用するタイプの運用では、一人当たりの打刻に時間がかからないことが必須条件でしたが、顔認証でも同様に短い時間で打刻を行うことが可能です。
2-2.なりすましの打刻を防止できる
従来のタイムカードや出勤簿などの勤怠打刻だと、本人以外が不正に打刻することも容易で、不正打刻自体を防ぐ方法もほぼありませんでした。顔認証を利用すると、本人だけが持つことができる本人の顔を勤怠打刻の「鍵」として利用することでき、格段に本人確認の精度を上げることができます。顔認証は都度タブレットなどで撮影した顔写真を、最初に登録した本人の写真とシステムが比較することで本人確認を行っています。
2-3.幅広い年代の社員が対応できる
打刻の方法が顔写真を撮影してあとは出勤や退勤を押すだけで勤怠の登録ができるため、幅広い年代で対応することができます。特段難しい操作は無いためどの年代でも比較的スムーズに利用することができます。
2-4.打刻に紙やICカードが不要になる
顔認証による打刻は、タブレットなどの機器だけがあれば打刻ができるため、タイムカードを廃止できタイムカードや打刻機のコストを削減することができます。また、ICカードで打刻する方法と比べても、ICカードは紛失すると打刻ができず再登録が必要であったり、タイムカードであれば、毎月1日までに配布をできない場合は社員は打刻ができない問題も存在します。そのため、顔認証を導入するとタイムカードやICカードで起こり得るリスクや困りごとを無くしていくことができます。
3.顔認証の機能
ここでは顔認証の機能についてご案内します。
3-1.高精度な本人確認機能
現在多くの勤怠管理システムで顔認証の精度は99%以上のものが主流です。そのため比較的安心して顔認証を運用できると考えることができます。勤怠管理システムの中には3D認証を行い写真の読み取りを拒否するものや、写真撮影と同時に温度計測を行うものもあり、勤怠管理システムによってはさらに本人確認の精度を上げていくこともできます。
3-2.マスク着用時の認証実行
オフィスでのマスク着用はコロナが明けたことでだいぶ減ってきてはいますが、今でも体調がすぐれない際などはマスクを着用される方もいるかと思います。そのため顔認証の技術でも基本的にマスクを着用時でも問題なく認証を行うことができます。もしマスク着用時に顔認証の本人確認がうまくいかない際は、一時的にマスクを取ることでスムーズに認証することもできます。
3-3.顔認証を利用した勤怠関連の申請機能
退勤時にタブレットで顔認証を行って例えば残業申請を忘れていた場合は、タブレットから残業申請を行うことも可能です。本来残業は事前申請するものですが、申請し忘れた場合には事後申請することもあるかと思います。勤怠管理システムの設定によっては退勤時間に対して必要な残業実績が付いていない場合は締まらないこともあります。そのため漏れた残業申請や私事在館の申請が必須の運用をしている場合は、申請漏れをした際には退勤時にタブレットから申請することを推奨することもできます。
3-4.接客前の笑顔づくりに利用できる機能
勤怠管理システムの中には、打刻時に顔認証をする際に3秒間笑顔を続けることで自動的に撮影を開始する機能が付いているものもあります。これは接客やコールセンターの仕事など、お客さまと直接お話をする職場では笑顔で仕事を始められるよう用意された機能です。
お客様だけでなく社内でのコミュニケーションも円滑にすることもできるかもしれません。
3-5.顔認証に加えた体温測定機能
顔認証を行う端末には温度測定機能が装備されているものもあり、顔認証時に社員の体温も計測することができます。体温計測はコロナ禍ではおなじみでしたが、発熱を知ることができるため引き続きオフィスで働く人たちの健康を守る意味でも、体温測定機能付きの端末を利用することも可能です。
3-6.ノートPCのカメラを使った顔認証
勤怠管理システムの中には、テレワークや出張時にも顔認証による打刻ができるよう、ノートPCのカメラを利用して打刻を行うことができるものもあります。この方法であれば場所を選ばずに全社員が顔認証による打刻を行うことができ、全社で同じ顔認証で勤怠を行うルールも運用することが可能です。
4.メリット
ここでは勤怠管理に顔認証を導入することで得られるメリットをご案内します。
4-1.打刻に関する不正を防止することができる
顔認証を利用した打刻は他の打刻手段に比べると格段に不正のリスクを下げることができます。
打刻の方法自体は顔認証のほかに、タイムカードや、ICカード、PCやスマートフォンへの入力など様々な方法があります。これらは例えば本人のタイムカードやICカードを別人が打刻操作することも可能です。打刻機が人目にさらされる場所にない場合は、不正打刻が起こるリスクを持ちながら運用することになってしまいます。この点で顔認証による打刻では、認証には打刻時に本人の顔を使うため不正が起こることを防ぐことができます。勤怠管理システムの中には打刻時に撮影した写真を保存しておく機能もあるため、顔認証の検証を行いたい場合にも打刻時の写真を見て確認を行うことができます。
4-2.打刻漏れのリスクを減らすことができる
顔認証であれば、ICカードを忘れて打刻ができなかった、タイムカードが配布されずに打刻ができなかったというような打刻漏れを無くすことができます。タブレットが1台あれば打刻はできるため、これにより出勤や退勤の事後申請の数も減らしていくことができます。
4-3.ハンズフリーでの打刻が可能
例えば病院や工場など、マスクの着用があったり、衛生面の配慮が求められたり、セキュリティの求められる場所でも顔認証の打刻であればハンズフリーで行うことも可能です。
4-4.残業時間の管理を比較的簡単に強化できる
残業代の未払いにつなげないためにも、残業時間を正確に測ることも勤怠管理では求められています。この残業時間の測り方も、顔認証を利用すると本人の正確な出社と退社の時刻を簡単に打刻することができます。残業時間を測る方法としては、PCのログオン・ログアウト時間を収集して勤怠管理システムと連携する方法もありますが費用や手間がかかり、方法として、顔認証を利用することで本人の勤務時間を確実に取得して残業時間の管理を強化していくことも可能です。
5.デメリット
ここでは勤怠管理に顔認証を導入することで生じるデメリットをご案内します。
5-1.顔認証のエラーが起こる可能性もある
顔認証の精度は主要な勤怠管理システムでは99%以上と公開されていますが、顔認証でエラーが発生することもあります。照明の影響であったりメイクや髪型などの要因でシステムが本人でないと判断してしまう場合もあります。あまり顔認証が頻繁に起こる場合は、顔写真の再登録を行い対策を取ることも可能です。
5-2.顔認証を行う機器の導入費用がかかる
顔認証による打刻を導入するためには、顔認証に対応した勤怠管理システムのほかiPadなどのカメラ付き端末が必要となります。またiPadを安定して立てかけておくためのスタンドも必要な場合もあり一定のコストはかかってきます。加えて、顔認証を行うためには通信回線が必要になるため、社内Wi-Fiが飛んでいれば通信回線にはWi-Fiを利用し、もし無い場合は携帯電話の通信回線が使えるタブレットを導入する必要があります。
6.顔認証に対応した勤怠管理システムのご案内
ここでは顔認証に対応した勤怠管理システムをいくつかご案内します。
サービス名 | 提供元 |
KING OF TIME | 株式会社ヒューマンテクノロジーズ |
ジョブカン勤怠管理 | 株式会社DONUTS |
jinjer勤怠 | jinjer株式会社 |
Taskal Time-Card | 株式会社アイシーソフト |
TIME CARD | 株式会社スマレジ |
MOT勤怠 | 株式会社バルテックITソリューションズ |
奉行Edge勤怠管理 | 株式会社オービックビジネスコンサルタント |
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