自社にも受付対応を効率化したいため無人受付システムを導入したい!そんな話題が上がっている中堅・中小企業にお勤めの情報システム担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では無人受付システムとはどのようなものかから、無人受付システムのタイプ、主要機能、導入メリット、導入に必要な機器などをご案内しています。ぜひこの記事を読んで、受付業務を効率化できる無人受付システムの選定に進んでみてください。
1.無人受付システムとはどういうものか
ここでは無人受付システムとはどういうものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。
1-1.無人受付システムとは?
無人受付システムとは、企業のエントランスや受付に設置し、来訪された者が社員を介さずに担当者を呼び出すことを可能にするシステムのことです。最近は多くの場合タブレット端末を使って無人受付システムを運用します。
無人受付システムは基本的に、 来訪者がまずタブレット上で「面会したい担当者名」や「来訪目的」を選択・入力して利用が始まります。その後、 システムが呼び出し先の担当者のPCやチャットツール(Teams、Slackなど)やスマートフォンに自動で通知を発信します。担当者は通知を受けて、内線電話、チャット、あるいはビデオ通話機能を使って来訪者と直接コンタクトを取り、受付へ向かったり待機場所の案内を行います。
この無人受付システムは従来の「内線電話機を置いた受付」の進化系といえます。来客からの呼び出しが内線電話ではなくチャットやスマートフォンへ届くことで確実に情報伝達でき、担当者への直接性も格段に向上します。受付に常時人員を配置しなくても低コストで会社の「顔」としての機能とセキュリティを確保できる手段として無人受付システムは注目されています。
1-2.導入が増える背景
無人受付システムは、数年前から存在していましたが、ここ数年で導入が加速しています。主な要因としては、総務などの庶務担当者が来客対応をになっているケースではその担当者の負荷を軽減できることや、訪問先の状況を把握した部署の担当者が直接対応できスムーズな対応ができること、訪問者の履歴を取れることなどがあげられます。他にも、非接触ニーズが感染症対策をきっかけに高まったこと、無人受付システム自体コストが比較的低価格になってきていること、複雑な工事が不要なことなども無人受付システムの導入が増えている要因としてあげられます。
2.無人受付システムのタイプ
ここでは無人受付システムのタイプについてご案内いたします。
2-1.シンプル型(クラウド型)
シンプルで機能が絞られているクラウドベース(SaaS)のタイプのことです。機能も絞られているため導入も簡単で、市販のタブレット(iPadなど)と専用アプリ、無人受付システムのクラウドサービスと契約するだけで運用が可能です。工事も必要なしで手軽な設定で利用することができます。機能的には「来訪者受付」「担当者への通知(チャットやメール)」といったものが利用できます。初期費用を抑えたい企業には最適です。来客頻度が少なく他のシステムとの連携が必要でない場合にもおすすめいたします。
2-2.機能豊富・連携重視型(多機能クラウド型)
基本的な無人受付システムの機能に加えて、入退室管理システムやスマートロックとの高度な連携、QRコード受付、多言語対応など、無人受付に関する充実した機能を持っている対応です。こういった機能豊富・連携重視型のタイプでは、来客通知もビジネスチャット(Slack/Teams/Chatwork)に加え、Web会議ツールなどにも転送することができます。来客頻度が高い企業であったり、顧客へITや設備、施設を提供するような企業ではよく利用されていることもあります。今は様々な機能を利用しなくても将来的に機能拡張を視野に入れている企業は導入することもお勧めです。
2-3.大規模・専用ハードウェア型(オンプレミス/大規模クラウド型)
高いセキュリティ要件や数多くの拠点を持つ大企業向けの無人受付システムです。専用の受付端末や、自社サーバー内にシステムを構築するし、顔認証や生体認証も利用可能でく、数千人規模の社員名簿を階層でも管理できます。金融業や製造業など、セキュリティ基準が厳格な企業やシステムを自社のネットワーク内で完結させたい企業でも利用されています。
3.無人受付システムの主要機能
ここでは無人受付システムの主要機能についてご案内いたします。
3-1.来訪者受付と通知機能
最も基本的な機能と言えるのが、来訪者受付機能です。来訪者がシステムで担当者を検索・選択し、自身の名前や用件を入力するものです。担当者名の検索方法としては、部署名、氏名、五十音検索などがあります。名簿とも連携することができ、人事データベースやグループウェア(Google Workspace、Microsoft 365など)の社員名簿と連携し、自動で最新の社員名を無人受付システムに反映することもできます。ちなみに手動更新の負荷はある程度の社員数が居る場合は情報システム担当者にとって大きな負担になります。
他にも主要機能としては通知(呼び出し)機能があります。来訪者の受付操作が行われると呼び出し先の担当者にお知らせを送るものです。社内で普段仕様しているコミュニケーションツール(チャットワークやTeams、Slackなど)へ通知を飛ばすこともできるため、日ごろから利用するチャットツール上で速やかに通知を気づくことができます。担当者はその場でチャットで応答すると受付の画面に「ただいま担当者が伺います」などの表示を行うこともできます。設定によっては、一定時間応答がない場合、上長や別の担当者へエスカレーション通知を送ることもできます。
3-2.コミュニケーションと対応の質を高める機能
無人受付システムには、通話(内線通話、ビデオ通話)機能が組み込まれているものもあります。来訪者と担当者が直接通話で会話でき、従来のような生の声を聞く「会話」もすることができます。この機能を利用すると担当者の内線電話やスマートフォンを直接鳴らすことも可能です。
また、来訪者側のタブレットのカメラと担当者のPCやスマートフォンを接続し、互いの顔を見て会話する機能もあります。必要性は会社によりけりかと思いますが、映像を使うことでより来訪者とのコミュニケーションを手厚く取っていくことも可能です。
3-3.セキュリティとスムーズな入館を実現する認証機能
セキュリティを高める認証方法として、QRコード受付を利用することもできます。事前に面会の予定が決まっていれば、社員が無人受付システムに来客名と来訪日時を登録します。その後QRコードが発行されるので、そのQRコードをお客様を事前にメール等でお送りし、お客様がQRコードを受付にかざして受付を行うものです。
例えば社外からの入場方法をQRコードに限定すると、アポイントのあるお客さまだけを受付することができセキュリティを向上させることができます。またお客様側でもタブレットにQRコードをかざすだけで受付が完了するため、氏名や担当者名を入力が不要となり、受付を簡単に行うことができます。
このほかにも顔認証やICカード認証を使った受付も可能です。あらかじめシステムに顔データやICカードを登録しておくことで、顔の撮影やICカードをかざすだけで受付完了できるものです。セキュリティが求められる場所であったり、顔認証はVIPの受付がある場合などにも使い方によっては活用することができます。
3-4.外部システムとの重要な「連携」機能
無人受付システムは、入口などの扉と連携することもできます。具体的には、エントランスの扉を電子錠(スマートロック)にすることで、受付システムで認証が済めば電子錠(スマートロック)をその場で解錠することができる機能です。この機能はスマートロック連携機能と言います。スマートロックは担当者が「入室許可」のボタンをPCやスマートフォンで押すことでドアのロックが解除されます。これによって担当者が席を立って迎えに行く必要がなくなり、受付から入室までの動線を完全無人化することができます。
4.無人受付システムの導入メリット
ここでは無人受付システムの導入メリットをご案内いたします。
4-1.業務効率化
受付業務をシステムに置き換えることの一番のメリットは、受付担当者が必要なくなることです。中堅・中小企業では、受付は総務や営業事務のスタッフが兼務で担っていることも多いかと思います。この兼務での来客対応の時間を、本来のコア業務(経理処理、営業サポートなど)に充てられるため、業務効率を改善することもできます。またもともと受付対応していた人員が手薄な場合でも、機械化することで受付の対応に人手を割く必要なくなり、人が少ない中、お客様が来ても別の電話をしており対応できないといったことも無くしていくことができます。
実際に対面で受付しておらず電話機で対応していた場合でも、来訪者が内線電話ではなく、チャットや専用アプリで直接担当者を呼び出すため、電話で来客の取次ぎを行う業務を無くしその分の負荷も軽減していくことが可能です。
4-2.セキュリティ強化
受付をデジタル化することのメリットの一つには、セキュリティの向上も含まれています。受付システムを通すことで来訪日時、目的、担当者、滞在時間をすべてのデータを自動で記録することができます。従来は口頭の受付であえて記録に残さない限りは来訪者の記録も残らないフローとなっていました。手入力や紙の受付簿を作成していた場合は記入漏れも発生してしまっていたことも考えると、自動で来訪者記録を付けられることもセキュリティ向上かつ業務の手間削減の両方を実現することができます。
4-3.企業イメージの向上
無人受付システムを会社の入口に設置しておくことは、顧客など来訪者向けの企業イメージ向上にも利用することができます。
昨今の無人受付システムは、画面も洗練されておりタブレット上の操作だけで受付を完結できるため、顧客サービスへ秀でている印象であったり、ITを活用している印象を顧客へ与えることもできると言えます。また、受付の電話をならしても電話に出てくれないといったことも担当者や部署宛てに通知を送れるため避けることができます。このため来訪者を待たせることも減らしていくことができます。
また、無人受付システムは多言語対応できるものもあり、外国人の来客がある企業では英語などの言語に対応した無人受付システムを導入することで、外国人来客に対してもスムーズな受付を提供でき、国際的なビジネス姿勢をアピールすることができます。
5. 導入に必要な機器
無人受付システムの運用に必要な機器は、導入するシステムのタイプによって異なりますが、一般的なクラウド型システムで必要なものは以下となります。
●受付用タブレット(iPad/Android)
基本的には市販されているタブレットを利用することができます。利用するシステムによって推奨するOSのバージョンや機種が指定されている場合もありますので、タブレットを購入する前に候補のシステムの推奨環境を確認しておくことをおすすめいたします。
●タブレットスタンド
安定させて設置させるためであったり、エントランスのデザインと併せて導入する場合などは、タブレットスタンドをきちんと選定することも必要です。卓上型やフロア型があり、電源ケーブルなどの配線類も各セルを隠せるようなタブレットスタンドもあります。
●電源とネットワーク環境
もちろんタブレットを利用するためには電源が必要となるため電源コンセントの準備も必要です。また無人受付システムは通信環境を必要とするためタブレットが利用できるWi-Fiなどのネットワーク環境も必要となります。
6.主な無人受付システムのご案内
ここでは主な無人受付システムをご案内いたします。
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