最近は顧客との接点もオンライン会議やWEBを使った資料請求などデジタル接点がどんどん増えてきて複雑化していたり、営業側でもパワーポイントスライドや画像や動画の多用で資料管理が煩雑になりの営業共有が進まない課題が起こっている営業現場も多いのではないでしょうか。この数年から10年程度で営業現場へもセールスフォースなどのSFAやCRMが導入され、営業現場で様々なITサービスの利用が広まったこともこれら課題のが発生する要因ではないでしょうか。ここではそんな課題に悩んでいる中堅・中小企業の営業企画担当の方へ向けてセールスイネーブルメント ツールの導入についてご案内いたします。営業資料の共有や営業スキルアップのためのEラーニングのほか、商談や通話の分析と改善提案や、データ分析など、これらはツールでできることの一例ですが、営業課題を解決に向け動き出すことができます。この記事を読んで自社の営業課題がセールスイネーブルメント ツールで解決できるか、ぜひ検討してみてください。
1.セールスイネーブルメントとは
ここではセールスイネーブルメントとはどのようなものか、まず最初に知っていただきたいことをご案内いたします。
1-1.そもそもセールスイネーブルメントとは何なのか?
簡単に言ってしまうと、セールスイネーブルメントとは成績の良い営業員を育成して増やしていく仕組み作りのことです。仕組みづくりには営業員個々の能力を向上させることと、組織で営業力を向上させることの2つの面があります。注目すべきはITツールを使って営業員の能力向上や組織での営業力向上を図っていくことにあります。近年、SFAやCRMなど営業活動へのITツールの利用も浸透してきていますが、ITツールが持つ共有性や効率性を活かして営業員の成績向上へも繋げていくことがセールスイネーブルメントの目的となっています。
1-2.セールスイネーブルメントにITツールが必要とされる理由
企業は成績の良い営業員を育成して増やすことを目的にセールスイネーブルメントを実施していきますが、ここではその実施にITツールを利用する理由をご案内いたします。
既存の営業活動自体が以前に比べると情報過多になっており、例えば営業資料では製品パンフレット以外にもパワーポイントのスライドや事例紹介、製品動画もあるかと思います。このほかにも営業員が関わる情報としては、ヒアリングシートであったりターゲットリスト、名刺などの顧客情報、営業日報などの情報も営業員を起点として管理しています。またオンラインミーティングを顧客と行った場合の文字起こし議事録も情報として発生します。
更に、営業員が直接関わらない場面であっても顧客との関わりがあると情報が発生しています。例えば、顧客がコールセンターへ通話した際の会話内容であったり、インサイドセールスなどのテレマーケティングによる顧客の反響、WEBサイトの閲覧やダウンロード履歴も存在します。
これらの顧客に関する情報をすべて統合することは難しいかもしれませんが、資料類であれば資料の情報をITツールでまとめて利用しやすいようにすることも可能です。また、オンライン会議での会話内容もITツールで文字起こししてCRMで管理したり、顧客とコールセンターやテレマーケティングでの会話内容もITツールで分析してスクリプトの勝ちパターン分析やオペレーターの話し方改善にも利用することができます。
2.セールスイネーブルメントが今話題になる理由
ここではセールスイネーブルメントが今話題になる理由をご案内いたします。
2-1.以前よりも顧客との接点が多様化していること
以前よりも顧客自身の動きや顧客と企業との接点が多様化しており、それにより企業側が営業戦略を立案するためにも、セールスイネーブルメントは活用されています。例えば顧客自身でもいきなり営業に問合せをするのではなく、その前にWEBサイト上の資料を見たりメールマガジンを読んだり、資料をダウンロードしたりといった行動も広がっています。また効率化を目的にコールセンターを設けている企業では、営業を介さずに顧客がコールセンターとやりとりを行うことがあります。このように顧客のオンライン上での行動やコールセンターとのやり取りについては従来型の営業活動では可視化することはできません。企業では顧客との接点が多様化しているので、そのような状況下で営業戦略を立案するためにもセールスイネーブルメントツールを検討したり利用を行っています。
2-2.営業活動における属人化の解消に寄与すること
営業活動では様々な要因で営業活動に関する属人化ということも起こることがあります。特定の営業担当者自身の知識やスキル、ノウハウや経験に営業活動を依存している場合はその人の退職や異動によって売上が失われるリスクとなってしまいます。
これらの課題に対して、セールスイネーブルメントのコンテンツ管理系のツールであれば営業資料や成功事例、トークスクリプトなどの営業ノウハウを蓄積、共有していくことができます。また、SFAやCRM系のツールを利用することで、顧客情報や商談進捗も見える化できるため共有の停滞が起こっているかも一目瞭然で確認することができます。
2-3.ITを活用した営業活動やプロモーションが広まってきたこと
セールスイネーブルメントはITツールを活用して実現していきますが、営業活動の中では既にSFAやCRMをはじめマーケティングオートメーションなど、営業活動自体のIT活用は進んできています。業種や業界にもよりますが、顧客情報やターゲットリストの作成から実際の商談管理までSFAやCRMで行っている場合もあれば、マーケティングオートメーションの施策からリードや商談が営業社員への送客されるといった活用を行っている会社もあります。セールスイネーブルメント自体はITツールを使って行っていきますが、既存の営業活動にIT活用が進んでいることも企業がセールスイネーブルメントに注目しやすい要因となっています。
3.セールスイネーブルメントツールのメリット
ここではセールスイネーブルメントツールのメリットについてご案内いたします。
3-1.営業員個々の営業力向上へつなげていくことができる
トップ営業員の資料やオンライン会議でのトーク、その他ノウハウ等を営業部門で共有することで営業全体で営業スキルの向上を図っていくことができます。セールスイネーブルメントツールを利用すると、営業メンバーの使っている資料共有が簡単にできることはもちろんのこと、オンライン会議の文字起こしを利用してトップ営業員が資料以外でどのようなことを話しているのか、といったことも共有することもできます。
3-2.営業員の生産性を向上していくことができる
営業資料であったり導入事例などを専用のセールスイネーブルメントツールで共有することで、速やかに資料や事例を見つけることができ商談準備を効率的に行うことができます。導入事例については営業員個々でそれぞれ自分の担当顧客の事例があるはずですので事例の情報を集約することで案件の勝率アップにもつなげていくこともできます。
3-3.顧客との接点全体を通したデータ分析と改善検討を行うことができる
営業員が直接顧客に関わらない、コールセンターやテレマーケティング、WEBサイトなどもデータ分析を行うことで、BANT情報の入手やアポイントであったり資料請求のボトルネックをデータ分析により可視化することができます。その結果スクリプトであったりWEBサイトのフォームを改善する仮説を立て実行するなど改善を行っていくこともできます。従来の対面での営業活動以外にも、コールセンターやWEBサイトも含めた顧客接点全体を通してデータを見て改善を行って行くことができます。
4.セールスイネーブルメントの始め方
ここではセールスイネーブルメントの始め方をご案内いたします。
4-1.4種類のセールスイネーブルメントツール
セールスイネーブルメントツールには大きく分けて4つのツールがあります。ツールの利用は基本的には母体となるSFAやCRMツールを導入していることが前提です。
●コンテンツ管理ツール
営業資料や事例などをツール上で便利な操作で集約してナレッジとして利用することができます。ヒアリングシートや過去の提案書なども登録すると営業提案についてのコンテンツとしてより活用することができます。登録された資料類はツールによってはAIを使って検索ができるものもあります。
●ラーニングツール
営業員に対して業務上のトレーニングを行うことができます。営業員が商談のロールプレイをツールに行うと、ツー上で映像や発話を評価して相手への印象などを数値で評価することができるツールもあります。またその会社独自の教材を作ってEラーニングを行うこともできます。
●商談や通話の記録・解析ツール
営業員が顧客と行うオンライン会議をツールが文字起こしをしてCRMに記録するものから、コールセンターやテレマーケティングの通話内容を評価してトークを改善して成約やアポやBANT情報の取得をに向け改善していツールまで様々なものがあります。
●データ分析ツール
顧客へ送った資料が誰にどのページが見られているかといったことを分析するツールや自社のWEBサイトにどういった企業の人がどのページを見ているかといったツールを利用して感度の高い顧客へ営業活動を行っていくことも可能です。
4-2.セールスイネーブルメントの導入方法
セールスイネーブルメントの導入方法について簡単にご案内いたします。基本的にはITツールの導入を行う時と同じ流れとなります。
1.現在の課題をリストアップする
まず最初にはSFAやCRMが導入済みであるかの確認が必要です。
次に具体的な営業課題を抽出します。例えば営業資料の共有が進まなかったり、Eラーニングを導入したかったり、コールセンターや営業企画との販売促進の連携がうまくいっていなかったりなど顕在化してる課題をまずはリストアップします。
2.営業現場への課題ヒアリングを行いブラッシュアップ
リストアップした課題を今度は営業現場へ提示して抜け漏れが無いかや、ここで瀬在的な課題があるかも聞き取りを行うことをおすすめします。人によって営業側の意見は様々かと思いますが、この段階はまだどの課題を解決していくか決める段階ではありませんので、様々な課題があって問題ありません。
3.セールスイネーブルメントツールの情報収集
ある程度課題が集まった所で、それらの課題を解決できそうなツールを具体的に探します。探し方はWEB検索で「セールスイネーブルメント ●●」と検索すると大体探すことができます。●●は課題ややりたいことを入力します。例えば営業資料共有ツールを探していれば「セールスイネーブルメント 資料共有」などで探せば出てくるかと思います。優先順位が高そうなツールをまず調べることをおすすめします。
4.解決したい課題と導入するツールを決める
調べたどのツールを使ってどの課題を解決するか決めます。全部の課題を解決しようとすると、様々なツールを導入して費用も重くなってしまいます。そのため解決したい課題の優先順位とかかるコストを鑑みて、導入するツールを決めます。
5.導入作業・運用開始
ツールの契約を行い、営業担当者の協力も得ながらまずは本番データを少し入れてパイロット導入を行うことをおすすめします。パイロット導入で問題が無ければ、全てのデータを投入します。(営業資料であれば全営業に声をかけて営業資料を投入します。)
5.代表的なセールスイネーブルメント ツールのご案内
ここでは代表的なセールスイネーブルメント ツールのご案内いたします。
サービス名 | 提供内容 | 提供元 |
_KNOWLEDGE WORK | 営業資料共有やEラーニングなどを提供。商談の準備や記録も可能。 | 株式会社ナレッジワーク |
BowNow | マーケティングオートメーションを提供。WEBを活用した見込み客の発掘など。 | クラウドサーカス株式会社 |
MiiTel | 電話やオンライン商談など音声解析を提供。会話の使って生産性を向上。 | 株式会社RevComm |
DocTrack | 顧客送付資料の閲覧情報を提供。見込み客の発掘など。 | 株式会社ジーシー |
ailead | オンライン会議などの文字起こしを提供。要約を行いCRMへ連携。 | 株式会社ailead |
エンSX セールスアナリティクス |
営業商談についてのEラーニングを提供。営業員の映像や音声を評価。 | エンSX株式会社 |
uSonar | 法人データベースを提供。営業のターゲティングに利用。 | ユーソナー株式会社 |
コメント