販売管理システムを中小企業に導入すると、販売に関わる様々な業務を効率化でき、業務時間やミスを削減できるほか、タイムリーな売上予測も把握することもできます。現在エクセルを使ったり部門ごとに別々のシステムを導入している中小企業では、二度打ちや連携不足によるミスであったり、売上予測の反映が遅くなってしまう課題があると思います。販売管理システムを導入するとこれらの課題への解決策を打っていくことができます。この記事で販売管理システムで解決できる課題やシステムの機能、メリット・デメリットをご案内します。社内業務の効率化を行うために売上管理システム導入に向けてシステムの比較検討に進んでみてください。
1.販売管理システムとは
ここでは在庫管理システムとはそもそもどういったものか、中小企業向けの販売管理システムとはについてご案内します。
1-1.そもそも販売管理システムとは
販売管理システムとは、社内の様々な部門が関わって進む販売業務を1つのシステムを使って効率的に行えるものです。実際の販売業務というと、顧客へ見積を出したり、商品の仕入をしたり、原価を管理したり、売値を決めたり、受注したり発注したり、納期を管理したり、請求を管理したり、と1案件を進めるにしても、多くの業務が存在しています。それらは、営業部門や、仕入部門、経理部門など様々な部門が関わりながらそれぞれ業務を行ってきます。そのため、1案件を進めていくのにもし各部門が独自のエクセルを使って管理したり帳票を作ったりしていると、手打ちや計算式でミスが頻繁に起こることがあります。また各部門が別々のシステムを持って業務を進めていても、業務が部門を行ったり来たりするので二度打ちが起きて煩雑になり、それが入力ミスの原因にもなってしまいます。
このような販売に関わる部門や社員が、正確に時間をなるべくかけずに業務ができるように1つのシステムで案件を共有して各部門が業務を進めていけるものを販売管理システムと言います。
1-2.中小企業向けの販売管理システムとは
中小企業では販売管理システムをまだ導入せずにエクセルで業務を行っていたり、あるいはかなり以前に導入したシステムを利用し続けているということもあるかと思います。
現在は導入コストが比較的安く抑えられるクラウド型の販売管理システムが多く販売されており、中小企業への販売管理システムの新規導入であったりリプレイスでも幅広く導入されています。
代表的な中小企業向けクラウド型販売管理システムでは、楽楽販売、freee販売管理、ZAC、かんたんクラウド販売、JUST.DBなどがあります。これらのクラウド型販売管理システムは、インターネットが使えるパソコンがあれば利用できるように作られており、サーバー等は導入せずに利用可能になっています。
2.販売管理システムの導入で解決できる課題
ここでは販売管理システムの導入で解決できる課題をご案内します。
2-1.各部門でデータの二度打ちを解消でき入力ミスも削減できる
1つの販売案件を進めるうえでは、営業活動で出す見積などの帳票、仕入先に出す帳票、社内承認のための帳票、顧客書いてもらう発注帳票、請求書や未収の帳票など様々な帳票であったり各部門間の関わりが必要になります。
最初に販売管理システムに案件を登録することで、各部門が共通のお客様情報を使って帳票の作成等の業務をしていきます。そのため各部門で行ってたエクセルフォーマットへの二度打ちは不要になります。また、顧客情報や仕入先情報、商品情報はマスタ登録することで各部署が1つの情報を共同利用して二度打ちすることなく帳票作成などを行います。そのため例えば仕入部門であれば、仕入先や商品情報のマスタデータを入力することで日々の発注業務では入力済みの仕入先マスタや商品情報マスタから必要なものを選ぶだけで済み、間違えを減らすことができます。加えて仕入部門が入力した商品情報マスタは営業部門が見積を作る際などにも利用することができます。
2-2.売上や原価の簡単に把握できる
営業部門で入力された売上や仕入部門で入力された原価も、販売管理システムを利用することで両者を集計して収支を集計することができます。これは案件に対して計上される売上と、案件に紐づいている原価を利用することで、案件ごとの売上や原価の集計はもちろんのこと、仕入先ごとの現在の発注原価も算出することが可能です。受注済案件だけに絞って売上や原価を集計でき、もちろんリアルタイムの入力内容に基づいて数字を把握することが可能です。
2-3.案件の段階ごとの売上分析も可能
案件の段階は一般的にはヒアリング、案件化、提案、受注、失注などがありますが、各段階ごとに売上を集計することも可能です。営業部門で販売管理システムで見積を作成したり、受注処理を行うことで、案件の段階や最新売上がシステム内で更新され、売上分析も最新の状態を確認できるようになります。
2-4.売上計上や請求の手間も軽減できる
毎月決まったサービス提供を行う案件の場合は、あらかじめ案件に対して請求ルールを設定することで、例えば毎月の売上を自動で計上することも可能です。売上集計にも反映されるほか、経理部門が起こす請求書発行業務へも請求書発行依頼を流すことも可能です。また、販売管理システムと電子請求書システムを連携させると、電子請求書の発行も効率的に行うことができます。
2-5.ペーパレス化によるコスト削減も進めることができる
見積書や請求書、発注書などの書類も販売管理システムからPDFで出力することができます。もちろん印刷も可能ですが、PDFファイルで見積書を出力してメールでお客様に送信するということも可能です。また、請求書もPDFファイルで送ることで郵送代を削減することもできます。(請求書については販売管理システムと電子請求書システムを連携させると大量の請求書を手間なく送信することも可能です)
3.販売管理システムの機能
ここでは販売管理システムの代表的な機能をご案内します。
3-1.見積作成
見積書の作成も極力入力の手間を減らして行うことができるようになっています。例えば商品情報や単価などは、あらかじめマスタ登録しておくことで間違いなく入力することができます。また、値引きを行う際にも値引き率を入力して値引額を自動計算するなども可能です。エクセルで行っている場合は値引き計算をはじめとした関数のミスに気付かず、値引き金額がおかしかったり、内訳と合計金額が合わないこともあったかと思いますが、システムで見積書を作ることでこういったエクセルで起こっていたような間違いは無くしていくことができます。
3-2.各種の申請への承認フロー
販売にまつわる社内申請に承認フローを設定することも可能です。具体的には、見積や売上、発注、仕入といった社内外への処理を行う際に社内の承認フローを組み込み、担当者から上長へ承認依頼を組み込むことができます。こういった承認フローをワークフロー機能と呼んだりもしますが、販売管理システム内に取り込むことで手軽に承認処理であったり承認フローを通した情報共有を図ることもできます。クラウド型の販売管理システムであればクロームやエッジといったブラウザ上で動くため、承認機能は出先からスマホで処理することもできます。
3-3.受注・売上
見積の提出後に晴れて受注した場合は入力済みの見積書の情報を活かして、売上の登録を行うことができます。営業社員だけでなく営業事務の社員が対応することも可能で受注の入力であったり仕入先への発注帳票の作成なども行うことができます。この受注時点での売上・原価・収支もシステム上で自動算出することもできます。
3-4.請求・消込
請求書の発行とその後の消込も行うことができます。請求書は受注時に入力した商品や数量・単価で作成することができ、PDF出力することも可能です。またシステムによってはオプション等で消込を反映させることもでき、案件の請求書で利用する銀行口座にバーチャル口座を設定し、その口座への入金があった場合に入金金額を販売管理システムへ取り込むというものです。消込については販売管理システムとは別のシステムで行う場合もあります。
3-5.原価・仕入・発注
見積や受注時に必要となる、原価や仕入業務の管理も販売管理システム上で行うことができます。例えば、顧客からの受注後に仕入先へ商品を発注する場合には案件に対して受注処理を行うと同時に仕入先へ発注を行います。発注を行うための発注書の作成や確定原価の入力なども行うことができます。PDF化した発注書をメールで仕入先へ送信するといったことも可能です。
4.メリット
ここでは販売管理システムを導入することで得られるメリットをご案内します。
4-1.人的なミスや部門間の連係ミスを削減できる
販売管理システムは販売に関わる部署と共同で利用するため、二度打ちの削減であったり他部門からも案件状況を見ることができるためスムーズな連携が可能になります。二度打ちの削減は業務時間を減らし、他部門が最新の案件情報を見られることは連携ミスも減らしていくことができます。1つの販売管理システムを各部門が利用していくことで、このようなメリットを発揮することができます。
4-2.売上や支払原価の見込みを1つのシステム上で把握できる
これも業務が販売管理システムに集約され実現できるメリットですが、売上や支払原価の見込みをシステムから抽出することができます。受注した案件だけに絞って、何月にいくらの請求や原価の支払いがあるかを集計することができます。正確な数字を把握するためには、常に営業部門は最新の案件情報に更新したり、仕入部門は原価の入力を受注以降は必ず行うなど抽出精度があがる業務フローを整備する必要はありますが、これによって販売管理システムから経営に活かせる情報を抽出することが可能になります。
4-3.案件情報が会社の資産になる
案件情報をエクセルで管理していると、エクセル自体がシステムのように必須で何かを入力させたり、管理者が情報を吸い上げたりといったことが困難なため、どうしても営業社員個人に案件情報が付きがちになります。販売管理システムを導入することで、作成した見積であったり顧客情報などもシステム上に残すことができます。システムを利用し続けることで案件情報や顧客情報も蓄積するためシステム上で本来の会社の資産をきちんと管理していくことが可能です。
5.デメリット
ここでは販売管理システムを導入することのデメリットをご案内します。
5-1.大人数で長期間利用する場合は費用がかさみやすい
クラウド型の販売管理システムは月額や年額制の料金が多く、利用者1人につきいくらといった料金体系を併せて採用している場合もあります。利用者数が増えるほど費用が増える傾向があり、初期費用は抑えて導入できますが、大人数で長期間使うと費用もかさんでいってしまいます。大人数での長期利用の想定があれば長期の予算化が必要になることを社内で認識しておく必要があります。
5-2.社員のシステムへの習熟や慣れも必要
これまでエクセルで業務を行っていたり、各部門で別々のシステムを使っている状況で販売管理システムを導入した場合は、社員が販売管理システムに慣れるための習熟期間も必要です。あらかじめ講習を行ったり、マニュアルを整備することで社員の習熟も速めることができます。また、システム導入全般に言えることかもしれませんが、自部門だけでなく見積から請求まで案件がどのように最初から最後まで流れるかが理解できると、自部門が登録したデータを他部門の業務でどう使われるかきちんと知ることができ、それがシステム習熟を速める効果があるともいえます。
6.代表的なクラウド型販売管理システムのご案内
ここでは代表的なクラウド型販売管理システムをご案内します。
システム | 提供元 |
楽楽販売 | 株式会社ラクス |
freee販売管理 | フリー株式会社 |
商蔵奉行 | 株式会社オービックビジネスコンサルタント |
ZAC | 株式会社オロ |
かんたんクラウド販売 | 株式会社ミロク情報サービス |
JUST.DB | 株式会社ジャストシステム |
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